安田純平氏へのバッシング過熱、「スマホ1本で発信できる時代に」戦地へ行くことは愚かか

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 しかし、直接的に安田氏に「自己責任」を被せなくとも、危険な地域まで直接出向いて取材することに対する疑問の声はある。

 たとえば、テレビ朝日の小川彩佳アナウンサーは、2018年10月25日放送『AbemaPrime』(AbemaTV)のなかで、<現地に赴かないと埋もれてしまう声があったりですとか、葬り去られてしまう現実が、もしかしたらある>として、安田氏の仕事の意義を認めたうえで<自己責任っていうふうにこちらから断罪してしまうのは覚悟のいることだと思いますし、それはちょっと私はできないんですけれども>と語りながらも、このように発言した。

<いまはかつてのロバート・キャパの時代からずいぶん変わってきていると思うのは、情報発信というのが色々な人ができるようになっているわけですよね。現地の人だって、たとえばスマホ1本で発信できるこの時代に、現地の遠い国から赴いて、そして情報をとってくる、その戦場ジャーナリストと呼ばれる方々のもってくる情報の意味合いだったり、質というのはますます問われてくるんじゃないかなと思います>

 ロバート・キャパは、スペイン内戦や第二次世界大戦の取材で知られる戦場カメラマン。小川アナは、ツイッターなどを通じて誰もが情報を発信できるようになったいまの時代では取材のやり方にも変化があるはずで、そういう状況下では大きなリスクを冒してまで現地に飛び込まずとも、別の取材方法があるのではないかとコメントした。

 ただ、本当にそうなのか? 元日経BP社の記者で、現在は東京工業大学でメディア論を教えている柳瀬博一氏は『AbemaPrime』で小川アナの疑問に対し、そう単純に事は運ばないと応じている。

<いまはスマートフォンで色々なところから発信できる。ただし、それっていうのは一方で、簡単に操作できてしまうんですね。偽の情報を流すのも簡単だし、そうしたときに第三者的な国からジャーナリストが行って、検証するというのは、いまむしろ僕は非常に重要だと思っています>

 このような共通認識は国際的にはごくごく当然のものとして市井の人々にも共有されている。このように「自己責任」がかまびすしく叫ばれる状況が続けば、日本のジャーナリズムは衰退し、国民の国際感覚はますます失われていくだろう。

(倉野尾 実)

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