仏ファッションウィークで起こった地獄のような虐待、労働搾取

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 しかし、スカリー氏によって明らかになった問題はこれだけではない。パリのショーでは18歳以下のモデルを使うべきではないと指示されているにも関わらず、あるブランドが15歳の少女をこっそりと出演させようとしていたこというのだ。この一件では、モデルを取り巻く異常な労働環境についても議論を起こした。

ファッションモデルだって、ただの職業のひとつ

 スカリー氏のInstagram騒動も一助となり、モデルたちが置かれている劣悪な環境が周知され始めると、世論を巻き込んで批判が沸き起こった。結果、少しずつだが状況は改善の兆しを見せているようだ。

 2017年5月、フランスはかねてより問題視されていたモデルの低体重問題について、「極端に痩せているモデルたちの活動を禁止する」法律を施行した。ショーに参加するためには、BMI(体格指数)が低すぎないことを条件にし、健康診断書の提出を義務づけたものだ。違反した雇用主には、最大7万5000ユーロ(約930万円)の罰金、および最大6カ月の禁固刑が科されるという。

 このルールは、モデルが痩せた身体でランウェイを歩くことによって、鑑賞者に極端なボディイメージを植えつけることを防ぐという公共的な意図もあるだろう。しかしその前提としてあるのは、ショーのために摂食障害に陥るモデルたちの健康を守ることだ。そもそも、モデル業界に厳然として存在する痩せ信仰は、モデルをヒトではなくモノとして扱う業界の慣習からくるものだと思われてならない。

 世界中から羨望のまなざしを送られる、華やかなファッションモデルたちーーーしかしその裏側では、パワハラや人種差別が横行し、労働法が遵守されていないことはおろか、モノのように扱われるーーーとは、なんとおぞましい話だろう。

 ファッションモデルだってこの世に無数にある「職業」のひとつでしかなく、モデル本人もひとりの賃金労働者だ。だからこそ、正統な労働環境が保たれるべきだし、業界の異常な慣習は正されなければならない。“特別”な世界だからーーーと、見過ごされてはならないのだ。

 もちろん、「ブラック企業」の不当な労働搾取これだけ問題視されており、芸能界における不当な契約も明らかになりつつある日本にとっても、海の向こうの話だと傍観することはできない。

(今いくわ)

 

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