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教育熱心な親は増えているのか 早期の幼児教育は人生を左右する?

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Thinkstock/Photo by Lordn

 近年、親の間で早期教育への関心が高まっているという。「将来、多くの仕事がAIに奪われる」と言われるようになり、早いうちから様々な知識や経験に触れさせたい親が多いのだろう。

 昨年、世田谷区教育委員会が区内の保育園長と幼稚園長に行った「世田谷区幼児教育・保育推進ビジョンのためのアンケート調査報告書」によれば、「ここ10年間で、早期教育や小学校受験に熱心な保護者」の割合は、「増えた」と54.0%が回答。「減った」はわずか4.3%と、教育熱心な親は増加していると言える。

 また、同調査では、園長に行ったヒアリング結果から、<早期教育そのものに対する疑問とともに、「他の家庭で早期教育を行っているという理由から自分の子どもも受けさせないといけない」という考える保護者に対する懸念が示されました>と分析した。自身は早期教育への必要性に疑問を抱いていても、周囲の親があまりにも熱心なため、それに影響されて「我が子に不利な思いをさせたくない」と同調する親も少なくないということだろう。

早期教育が人生を左右することはない

 しかし、早期教育の必要性については、懐疑的な見方もある。慶應義塾大学医学部小児科教授の高橋孝雄氏の著書『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』では、早期教育の効果についてこのように綴られている。

<子どもの能力や才能、そして性格までもが、環境要因よりも、むしろ遺伝子の力で大きく左右されるのです。(中略)ごく早期から質の高い教育を施すことが、子どものその後の人生を左右するという考えは、基本的には間違っているように思われます>

<幼稚園の年中のころに、ひらがなとカタカナの読み書きをマスターしたとしても、そのときは同級生をリードしたところで、その“貯金”は、小学1年生の1学期か2学期あたりにはあっさりなくなってしまいます>

 その個人の資質は環境よりも、遺伝子によって大きく左右されるため、どれだけ“早く”“お金をかけた”としても、その“投資”に見合うだけの成長が望めるわけではないという。

 また、早期教育を施す際の注意点として、親が「子供のため」ではなく「自分のため」になってはいけないと指摘している。

<子どもの習い事で気をつけたいのは、自分ができなかったことや果たせなかった夢を子どもに託そうとすること>

<英会話を子どもに習わせたいのは、実は親が英語をしゃべれないからだったりしませんか。(中略)英語には苦々しいコンプレックスを抱いているひとも少なくないかもしれません>

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宮西瀬名

フリーライターです。ジェンダーや働き方、育児などの記事を主に執筆しています。
“共感”ではなく“納得”につながるような記事の執筆を目指し、精進の毎日です…。

twitter:@miyanishi_sena

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