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『獣になれない私たち』第5話は、重苦しい展開に胸が痛い(ネタバレあり)

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 晶は近所の行きつけクラフトビールバーで知り合った男・恒星(松田龍平)に愚痴を聞いてもらい、肉体関係を持とうとする。ただ、お互いなんとなく合意してベッドまでいったものの、飲み過ぎていたせいかキスさえする前に恒星は寝落ちしてしまった。しかし恒星は、京谷に「晶と寝た」と吹聴する。混乱する京谷。

 さて第5話。晶は、京谷の自宅を一人で訪れ、朱里と面会。ここを出て行く気はあるのか、慎重かつ冷静に問いかけるが、朱里は「あなたみたいに仕事もできて彼氏もいて、なんでも持っててキラキラしてる人、大嫌い」「私は何にも持ってない」と涙をこぼしながら睨みつける。晶は晶で、追い詰められてここに来ている。けれど朱里の立場になってみれば、元彼の今カノである晶に追い詰められている状況だっただろう。

 一つ一つのシーンが長く、息を詰めて見てしまう。朱里との面会を終えて帰宅した晶は、疲れ切った表情で何かを決意したようだった。笑顔の能面をかぶり感情を殺して過ごすことにしたのだと思う。その翌日から、晶はそれまで以上に仕事に精を出し、クールで有能な会社員として振る舞う。「しあわせならてをたたこう」をハミングしながら。

 何日か続くこの仕事中の晶のシーンは、笑顔が張り付いているだけにどこまでも不気味で、画は非常に明るく綺麗なのに不穏な気配が漂っていた。だからある夜、高層ビルの非常階段に(仕事用の写真を撮るために)昇った晶の行動さえ、「早まっちゃダメ!」と言いたくなってしまった。

 「獣になる」とは、気軽に性行為をするとか恋愛体質とかではなく、誰かに対して感情を素直に吐き出すことなのだと思う。晶にとっては、他人の自分の前で感情をむき出しにして泣きながら睨みつけてくる朱里は「獣」だったかもしれない。晶は物事の処理は上手そうだが、感情表現が得意ではない。それは生育環境に由来しているのだろう。

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