『獣になれない私たち』第5話は、重苦しい展開に胸が痛い(ネタバレあり)

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 さて、非常階段でスマホのアドレス帳をひとしきり眺めた晶は、京谷の母親(田中美佐子)に電話をかけた。母親は晶のことを気に入っており、明るく応対する。三人兄弟の真ん中である京谷を「ひときわ優しい子」だと言う母親。彼女はほとんど一人で、寝たきり状態になってしまった夫の在宅介護を担っているが、悲壮感を感じさせない。晶が思いつめた声で「辛くないですか」と尋ねると、母親は夫との馴れ初めを話し始めた。

 この回想シーンが大変長かったので割愛するが、ともかく彼女は夫を愛している。「愛していれば乗り越えられますか」と聞く晶。「もちろん」と明るい声で朗らかに答える母親。晶は泣き崩れる。電話越しだから泣けたのかもしれない。京谷とは浮気事件以来、連絡を取っていない。

 しかし一方の京谷も、自分なりに考え、決意を固めていた。自分名義のマンションを朱里に譲り、家を出てとりあえずウィークリーマンションに住むという。まだ残っているローンは払い続けるし、これから先も住宅にかかる税金は京谷が払う。だが、もう一緒には暮らせない。それが京谷なりのけじめだ。

 オンラインゲームに熱中する素振りの朱里に、京谷は思い出話を一方的に語った。朱里は以前勤めていた先で辛い経験をして精神のバランスを崩し、大量の精神安定剤を飲んで自殺を図った。救急車を呼んだ京谷は、顔面蒼白の朱里を見つめて「神様、助けてください」と願い、朱里の異変に気づかなかった自分を責めたという。けれど、最後に京谷は言わなくていいようなことを言う。「でも、愛じゃなかった」と。朱里のことを自分は愛していない。それ、言わないとダメだったんだろうか。愛していた時期も過去にはあったんじゃないのか。今は愛してない、これからも愛せない、じゃダメなんだろうか。朱里との思い出まで全否定するようなセリフで、残酷にもほどがある。

 「ごめんな」と言い残して、京谷はマンションを去った。2LDKの広いマンションに、大きなテレビに立派なオーディオシステム、高そうなソファも残したまま。

 朱里はこれから、どうしていくのだろうか。ウサギという小さくか弱い生き物を飼い始めたばかりの朱里。住居費は無料でも光熱費や食費はかかる。少しだけ自立することが出来るのだろうか。「なんでもできる、なんでも持ってる」ように見える晶と、「自分には何もない」と自虐し、被害妄想に陥っている朱里。対照的に見えるが、どちらも今、手を叩けるほど幸せではなさそうだ。

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