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消費税増税前の生活必需品買いだめは意味なし 不動産、家電も「待った」

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nitiyouhin1109

Thinkstock/Photo by JackF

 安倍首相が来年10月の消費税引き上げを表明したことで、増税がほぼ確実な状況となってきた。前回の増税時には駆け込み需要や反動減など、市場は大混乱となった。今回の増税では、どうすればトクをするのか、逆に何をしてはいけないのかについて探った。

 前回(2014年4月)の消費増税の際には、増税前に駆け込み需要が殺到したかと思えば、増税後には一転して消費が落ち込むなど、大きな混乱が見られた。

 経済学的に見た場合、消費増税は、景気に対してそれほど悪影響をもたらすものではないとされている。増税によって政府が徴収したお金は、政府支出という形で国民に戻ってくるので、所得が減るわけではないというのがその理由だ(理屈上はむしろ政府支出分だけ増加する)。増税という心理的な負担が消費を抑制する作用はあるが、経済が大きく落ち込むことはないというのがセオリーであった。

 ところが前回の増税時には、消費が大きく落ち込むなど、経済に対する明らかなマイナス作用があった。その理由は、日本経済の基礎体力が弱っており、個人消費に力がなくなっているからである。先行きに対する不安が大きく、増税がそれに拍車をかけた可能性は高い。

生活必需品の買いだめは意味がない

 増税直前の駆け込み需要も同じ理由である。

 確かに、住宅などの高額商品を増税前に購入することは、ある程度までなら合理的といってよい。一生のうち1回か2回しかないような大きな買い物の場合、増税前と増税後では支出総額が大きく変わってくるからだ。だが、生活必需品を駆け込みで購入することには、ほとんど意味がない。

 生活必需品は、一生買い続けるものなので、増税前に多少買いだめしたところで、長期的に見ればその効果はほぼゼロになってしまう。一定量を超えると保管コストもバカにならないので、買いだめしても意味がないというのが合理的結論である。

 諸外国では、消費増税の際に駆け込み需要が発生するといった現象は起こっていないし、日本でも5%への増税時にはそうした現象はほとんど見られなかった。前回、買いだめする人が店に殺到したということは、1円でも節約したい人が増えたということであり、やはり日本の消費はかなり弱体化していると見たほうがよいだろう。

 そうなってくると、今回の増税においても、前回ほどではないものの、駆け込み需要や反動減が発生する可能性がある。わたしたちは、どのようなタイミングで買い物をすればトクするのだろうか。

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加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部原子核工学科卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社などを経て独立。経済、金融、ビジネスなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。

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