ビジネスホテルはここまで進化した! サービス多様化、安価で旅館並みの泊まり心地

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渋谷駅から徒歩8分のアパホテル〈渋谷道玄坂上〉。都心を含む全国最大の479ホテルを展開するビジネスホテル業界の雄。

 出張先や旅先などで、少しでも宿泊費を抑えたいときに重宝するビジネスホテル。快適さには最初から期待せずに泊まる人もいるだろうが、いまや旅館やシティホテル顔負けのサービスで、安さだけではない高い付加価値を提供しようとするビジネスホテルも増えている。

 一例として、筆者の体験談を挙げると、「アパホテル&リゾート<東京ベイ幕張>」(千葉県千葉市)がとにかくスゴイ。2016年12月に開業したこのホテル、なんといってもコンセプトの異なる3種の大浴場がウリだ。うち1種類は女性専用だが、男性である筆者でも、スーパー銭湯を1日に2軒ハシゴしたかのような気分を楽しめた。さすがに天然ではなく人工温泉ではあったものの、半露天風呂にうたたね風呂、滝湯まで備わっているというのだから文句をつける気にならない。

 大浴場の他にも複数のレストランやバー、コンビニや薬局などの各ショップが館内に備わっており、最低限の生活がこのホテル内だけで完結してしまいそうなほど。フロントには自動チェックイン機が導入されており、料金の支払いからルームキーの受け取りまでスムーズに行われる。そのため、宿泊中はホテルの従業員とほとんど言葉を交わさなかった。やや味気なくも思いつつ、ビジネスホテルはここまでハイテク化しているのかと感心したものである。

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アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張(アパホテル公式サイトより)見た目は立派なシティホテルだ。

 もっとも、東京ベイ幕張は日本に数あるアパホテルのなかでも最大級の規模なのだが、地方のアパホテルにも、大浴場が用意されているところは多い。アパホテルに限らず、このようにビジネスホテルの既存の概念を覆すような“進化型”ビジネスホテルが増えているという。

 その背景について、『ホテル評論家が自腹で泊まる! 最強のホテル100』(イースト・プレス)などの著書を持つ瀧澤信秋氏に話を伺った。

ビジネスホテルにも“ローコスト型”と“ハイクラス型”の2種類がある

 「まず、ビジネスホテルとは何なのかという問題に触れておきましょう。ホテルは本来、料飲やウェディングや宴会、スパといったさまざまなサービスを提供する、“フルサービス”の施設です。これに対しビジネスホテルは、先述したようなサービスを省き、人を泊めるという機能に限定している点で“リミテッドサービス”なんですね。ビジネスホテルというのは日本独自の言葉であり、業界では“宿泊特化型ホテル”とも呼んでいます。

 しかし昨今、訪日外国人旅行客の急増を受け、ホテルの需要が高まってきました。特にビジネスホテルは、利益率の高い業界としてフィーチャーされており、異業種からの参入も増加し競争が激しくなっています。そうなると、ビジネスホテル間での差別化が重要になってきますので、各ホテルは『よそにはないサービスを提供しよう』という方向に進むわけですね。宿泊に特化したリミテッドサービスであるはずのビジネスホテルに、大浴場のような新しいサービスが生まれているのは、こういった理由側面もあります」(瀧澤氏)

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