ココイチの勝算は? インド進出のベースとなるターゲットは「在留邦人」
そもそも、なぜココイチはカレーの本場たるインドへと進出しようと考えたのだろうか。
「今回のココイチに限らず、外食産業が海外進出するうえで1番のターゲットとするのは、現地に駐在している日本人の存在です。外務省の発表している『平成30年度版海外在留邦人数調査統計』によると、現在インドには4805拠点の日本企業が存在しています。これは中国、アメリカに次いで第3位となる海外拠点数なので、在留邦人の顧客は十分に見込めるわけですね。
また、率直に言ってしまうと、インドは日本ほど衛生環境が発達していません。そのため在留邦人、もしくはインドを訪れる日本人旅行者は食べる物には非常に気を使うわけです。日本の外食店は衛生管理がしっかり保証された存在ですから、在留邦人などにとってココイチのインド店は、大歓迎すべき存在でしょう。
そして現地人のなかには、かつて日本に滞在し、ココイチのカレーを食べていた方も少なくないでしょう。つまり、ココイチのインド進出は一見無謀に見えるかもしれませんが、実は基礎となる顧客層が存在しているうえでの計画なのです」(重盛氏)
確かに、インドには多くの日本人がいるであろうし、また日本カレーを知っているインド人も今では少なくないだろう。まずはそのような層を足掛かりに、ということだ。しかし、いちばん気がかりなのは、現地のインド人に日本のカレーが受け入れられるか、どうか。その勝機はどこに?
「たしかにカレーで真っ向勝負をかけるようなイメージがありますが、インドのスパイス系カレーと日本のカレーは、ほぼ別の食べ物といっていいでしょう。日本人がその日の気分によってインドカレーと日本カレーを食べ分けているように、新たなスタイルのカレーということでインドでも受け入れられていくのではないでしょうか。
また、ココイチは既にアジア地域への進出で多くの成功を収めており、シンガポールやマレーシア、タイなど多くの国に出店をおこなっています。そういったアジア圏での成功体験を踏まえて、満を持してインドに挑戦する、という印象を受けます。今すぐではなく3年後に出店しようというのは、まさに最後の詰めに入った段階なのではないでしょうか」(同)