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米国中間選挙で下院に101人の女性議員~票の数え直しと再投票

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写真:AP/アフロ

 11月6日のアメリカ中間選挙は、トランプ政権に「ノー」を示す “ブルー・ウェーヴ” が唱えられ、内外で大きく報道された。民主党のシンボル・カラーである青による波を表したキャッチ・フレーズだ。 だが、それ以上に盛り上がったのが、やはりアンチ・トランプから生まれた、大量の女性立候補者たちの健闘だった。

 なかでもマイケル・ムーア監督の最新作『華氏119』にも登場したニューヨーク州ブロンクス出身のヒスパニック、アレクサンドリア・オカシオ-コルテス(民主党)は大旋風を巻き起こした。バーニー・サンダース直系のブログレッシヴ派であり、女性下院議員としては最年少の29歳で初当選を果たしたのだ。 今回、米国初のムスリム女性下院議員も2人誕生し、わけてもミネソタ州選出のイルハン・オマール(民主党)は大きな注目を浴びた。ムスリムであることに加え、ソマリアからの元難民であり、黒人であり、さらにヒジャブ/ターバンを着用している。他にも女性だけでなく、人種、民族、宗教、性的指向におけるマイノリティが大挙して上院議員選、下院議員選、州知事選、地方選に出馬し、投票率は中間選挙としては1914年以来の高率となる49%を記録した。以下、今回の中間選挙の結果を、女性/マイノリティ候補者を中心にリポートする。

下院の23%が女性議員に

 事前の予測どおり、下院は民主党が過半数を奪回し、上院は共和党が過半数を維持した。いわゆる“ねじれ国会”となったが、上下院そろって共和党が多数派でなくなったことから、トランプのやりたい放題に歯止めがかかることとなった。

 女性とマイノリティが大躍進した下院は、全435議席中、23%にあたる101人が女性となった。再選を果たした現職66人に、初当選の35人が加わった形だ。これにより、これまでは男性議員のみだった州の多くに女性議員が参入することとなった。

 もっとも、各州選出の下院議員の数は州の人口によって割り当てが決まっており、米国は州による人口格差が非常に大きいこと、地域によって保守的な共和党とリベラルな民主党にきっぱりと分かれることが重なり、議員の男女比も州によって相当に異なる。

 下記は人口と議員数が多い上位4州の来年(*)の女性議員数。

・カリフォルニア州(人口約4,000万人):53議席中17人(32%)
・テキサス州(人口約2,800万人):36議席中6人(17%)
・フロリダ州(人口約2,100万人):27議席中8人(29%)
・ニューヨーク州(人口約2,000万人):27議席中8人(29%)
*今回、当選した議員が職務を開始するのは来年1月

 人口第5位のペンシルヴァニア州は議席数も18と多いが、これまで女性議員は皆無だった。しかし今回の選挙で一気に4人が当選。まさに大躍進と言える。一方、メリーランド州、サウスカロライナ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州など、おもに南部では相変わらず男性議員のみとなっている州が少なからずある。南部の保守的な風土が現れた現象と言える。

 人口の多い州とは異なり、人口が100万人以下の7州(1州のみ100万人をわずかに突破)は議席が1つしかない。そのうち2州は女性が議員となっており、比率では女性100%となる。もう少し人口の多い州で2議席あり、議員が男女1人ずつであれば、女性比率は50%となる。数字のマジックだ。

 なお、議員の男女比率とは別の問題として、上記に挙げたように州として最大のカリフォルニア州は4,000万人近い人口を持ち、最小のワイオミング州はわずか58万人。都市として全米最大のニューヨーク市の人口は860万人であり、ワイオミング州の15倍近い。州/都市による人口の極端な不均等は今後さらに進むと予測されており、アメリカが抱える大きな問題のひとつだ。

初当選を果たしたマイノリティ女性下院議員たち

 初当選の女性下院議員35人のうち、実に34人が民主党だ。そのうち13人が人種・民族・宗教的マイノリティとなっている。

黒人:5人
ヒスパニック:4人
ネイティヴ・アメリカン:2人
ムスリム:2人
レバノン系:1人
パレスチナ系:1人
元難民:1人

 ネイティヴ・アメリカン女性とムスリム女性が2人ずつ当選している。いずれも下院議員としては米国史上初のことだ。

 ジョージア州選出のルーシー・マクベス(アフリカン・アメリカン/民主党)は、2012年に当時17歳だった息子がガソリン・スタンドで「カーステのヒップホップがうるさい」と白人男性に射殺されている。この事件が理由で銃規制活動家となり、今回、下院に初出馬し、当選を果たした。

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