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「強き女性」を体現するファン・ビンビンにさらなる脱税疑惑 中国芸能界の実相と習近平“反腐敗キャンペーン”との相克

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2015年に放送されたファン・ビンビン主演のテレビドラマ『武則天 -The Empress-』DVD版ジャケット(日本版発売はNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)

 11月5日、中国の女優、范冰冰(ファン・ビンビン)に、さらなる脱税疑惑が浮上した。5月下旬に脱税を告発した国営放送・中央テレビ(CCTV)の元キャスター、崔永元(ツイ・ヨンユエン)が、weibo(中国版Twitter)を通して「もっと金額の大きな契約書を持っている」と発言したのだ。

 最初の5月の告発は、二重契約により、映画の出演料を実際よりも過少申告したとするもの。以来、ファン・ビンビンは3カ月間姿を消していたが、10月に約1億4000万元(約23億円)の脱税が発覚。中国国税局が追徴課税金と滞納金を含む8億8300万元(約147億円)の罰金を支払うよう命じたことが報じられると、ファン・ビンビンはweiboに「謝罪の手紙」というタイトルで投稿。罪を認めると同時に、自らのファンや中国政府および中国共産党への謝罪と感謝を述べた。

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10月3日、ファン・ビンビンがweiboに発表した「謝罪文」

 一連の騒動は、そもそも中国・習近平政権による“反腐敗キャンペーン”の一環ともいわれている。ハリウッド映画『X-MEN:フューチャー&パスト』にも出演し、中国でももっとも有名な女優と呼ばれるファン・ビンビンについて、中国の国民はどのような視線を送っているのだろうか?

制作費の8割にも!? 中国で問題視される芸能人のギャラ問題

 米誌「フォーブス」中国版が2017年に発表した中国有名人ランキングで、5年連続で1位に選ばれたファン・ビンビン。当時で過去1年間の収入が3億元(約51億円)といわれたが、中国では芸能人の高収入が問題視されているのだという。

「中国では、以前から芸能人の高額な収入に対して批判が高まっているんですよ。だから、みんな『罰金が8億8300万元(約147億円)なら、実際どれだけのギャラを受け取っているんだ?』と不満に思っているはず」

 こう話すのは、32歳の女性・Bさん。中国国内では、テレビドラマの制作費の50~80%がキャストに支払われるともいわれる。ハリウッドでは30%程度だそうで、2017年9月には中国全土のメディアを管轄する国家新聞出版広電総局から、キャストへの支払いは制作費の40%までに、そしてメインキャストへの報酬はさらにその70%までにするようにとの通達まで出たのだそうだ。

「ファン・ビンビンは、女優としてだけでなく実業家としてももっとも成功した人。もともと1年間に4〜5本の映画に出演するなど貪欲な仕事ぶりで知られていましたが、2007年に事業の幅を広げます。同年、個人事務所『氷氷影視伝媒有限公司(范氷氷工作室)』を設立し、大手事務所しかなかった中国芸能界において、かなり早い段階で個人事務所を設立したスターのひとりとなったのです。

 中国では、芸能事務所がドラマ作品の制作や投資も行うケースが多く、実際に同社は同年、ドラマ作品『臙脂雪』の制作を手がけています。また北京の懐柔区で演劇学校を設立し、名誉校長に就任。その運営と管理については、彼女の両親が手がけているそうです」(同)

 当時は異例だった大手芸能事務所からの独立は、ファン・ビンビンの成功によって、今ではトップスターの定石パターンになったという。

「ファン・ビンビンの一件には、そもそも中国の税制が不完全だという背景もあります。汚職追放はもちろんですが、税制の整備にも力を入れてほしいですね」(同)

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