『中学聖日記』の岡田健史に見る、芸能プロの“政治力”と人材発掘力

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TBS『中学聖日記』 オフィシャルサイトより

 10月クールの秋ドラマも出揃い、視聴率や各ドラマの評判などが取り沙汰されている今日この頃。芸能マネージャーが芸能ニュースの裏側をちょっぴり教えちゃう本連載、今回はあの話題のドラマの裏側を語っていただきます!

 大変ご無沙汰してしまいました。私、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。メインで担当している俳優がテレビドラマと映画の撮影にかかりきりになってしまうなどし、しばらく間が開いてしまった本連載ですが、またぼちぼち再開させていただこうかと思います。今回のテーマは、すでに後半戦にさしかかっている「秋ドラマ」ということで、芸能マネージャー視点での注目ポイントを語りたいと思います。

 今回の秋ドラマは、なかなか良作揃いといった印象。ぼく、この世界に入る前からもともとドラマが大好きなんですよ。だから、「『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の脚本が素晴らしすぎる。さすが野木亜紀子さん!」とか、「『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)におけるムロツヨシの意外な二枚目演技に引き込まれたけど、戸田恵梨香との朝チュンシーンでさらしたポッチャリとだらしないハダカに、『もうちょっと絞ってこいよ~!』と思わずツッコんでしまった」とか、いろいろ語りたいことがあるんです(笑)。ただ、それだと単なるドラマ好き一般人の感想になっちゃうので、もうちょっと業界ぽい話をさせてもらいますね。

 芸能マネージャーとして今回ぼくが一番注目しているのは、有村架純さん主演の『中学聖日記』(TBS系)。有村さん演じる中学教師と教え子の男子中学生の禁断の恋愛を描いたドラマなのですが、タレントや有名大学生による淫行事件が話題になっているこのご時世に、実にチャレンジングな作品ですよね~!

 案の定、初回が放送された直後は「設定が普通にあり得ないしドン引き」「生々しくて気持ち悪い」などの批判の声がネットにあふれ、視聴率もイマイチふるっていません。有村さんは好評だった2017年上半期放送の朝ドラ『ひよっこ』後、1年ぶりの連ドラ主演ということで、これまでの清純派イメージからの脱却を狙ったのかもしれませんが、このままではちょっとトホホな結果になってしまいそうですね……。

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 有村架純の主演連続ドラマ『中学聖日記』(TBS系)は11月13日放送の第6話からいよいよ第二章に突入する。第5話では、中学教諭の聖(有村架純)…

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『中学聖日記』の岡田健史に見る、芸能プロの政治力と人材発掘力の画像2 ウェジー 2018.11.13

 そんな賛否両論を巻き起こしている『中学聖日記』ですが、その内容もさることながら、芸能マネージャー的に注目すべきポイントは、なんといっても有村さんの相手役に抜擢された岡田健史くんですね。彼はなんとこの作品がデビュー作となる新人なのですが……いやー、久々に新星が現れたなという感じ! 配役発表の写真を見て「すごい男の子が出てきたな」とドキドキしました!

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スパイスパワー公式サイトより

 彼の所属事務所は「スパイスパワー」。内山理名、桐谷美玲、黒木メイサ、元KARAの知英、そしてお笑いコンビ「オードリー」若林正恭との“破局騒動”でメディアを騒がせた南沢奈央などなど、そうそうたる有名女優が所属する「スウィートパワー」の“男性俳優部門”に当たります。岡田くんのほかにも、同部門を設立するきっかけになり、ドラマ・映画・CMにも引っ張りだこの高杉真宙くんや、前期のNHK朝ドラ『半分、青い。』で有田哲平さん演じる津曲の息子役として登場し「あの美少年は誰!?」とネットを騒然とさせた荒木飛羽くんなど、勢いのある若手俳優が少数精鋭で所属しています。

 スウィートパワーは、とにかくかわいい子が大好きで、業界でもヤリ手として有名な女性社長O氏をトップにいただく芸能プロ。逸材を発掘して人気女優に育て上げるのに定評があり、これまでは同プロには女優しか所属しないため、“女の園”として知られていました。

 女性限定のその少数精鋭ぶりから、「男のジャニーズ、女のスウィートパワー」なんてささやく人もいたほどです。というのも、自社タレントとスキャンダルを起こした女性タレントを共演NGにすることが多いジャニーズ事務所の“御用事務所”などとも呼ばれ、ジャニーズタレントの主演ドラマの相手役にスウィートパワーの女優がキャスティングされることも多かったですね。まあ、赤西仁と黒木メイサの“デキ婚”のときには、ジャニーズ側がかなり激怒したなんて話もありましたが……。

「かわいい子いない?」とただひたすらに聞きまくる

 さて、スウィートパワーに所属しているタレントのほとんどはスカウトで芸能界入りした子ばかりなのですが、すごいのはそのスカウト方法。あまりにも独特なその方法は、業界では知らぬ人はいないほどです。

 その方法はというと、ただひたすらに、「このあたりでかわいい子知らない?」と聞きまくる、という、地味ながらもなかなか常人にはできない手法。要は、大手芸能プロの常套手段である「自己推薦」のオーディションや、プロの審美眼によるスカウトに頼るのではなく、「かわいさ」においてそのエリアで名が轟いている子を、ただひたすらに足を使って見いだす。しかも、口コミという、最も確実ながらその収集においては非常にハードルの高い手法によって、というわけです。このご時世、一歩間違えばストーカーともとらえられかねないやり方ですが、地方に社員を滞在させてまでやる、これぞという子の場合はO社長みずから“参戦”する、なんて話も聞きますから、いやあ、すごいですよね。

 俳優の山本耕史と結婚して今は芸能界を引退してしまいましたが、堀北真希さんが所属していたのも、このスウィートパワー。東京・多摩エリアのあるエリアで、美少女として名が轟いていた堀北さんを、スカウトマンがくだんの口コミローラー作戦で探し当て、部活帰りにジャージ姿で畑道を歩いている彼女を突然声をかけてスカウトした……という逸話は、結構知られている話です。堀北さんはその際スカウトをスルーしたものの、自宅まで追いかけてきたスカウトマンの熱意に押され、芸能界入りを決意したんだとか。ほんと、一歩間違えればストーカーですよね(笑)。

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