連載

『中学聖日記』の岡田健史に見る、芸能プロの“政治力”と人材発掘力

【この記事のキーワード】

岡田健史という、圧倒的な“素材”

 とうわけで、のちに『中学聖日記』に出演することになる岡田健史くんのスカウトも、この“作戦”によって行われたのだそうです。しかも、彼は現在19歳なんですが、スタッフが彼に初めて声をかけたのは、なんと中学1年生の頃! しかし、当時、野球少年だった彼は、「芸能界にまったく興味がない」と、いったんは断ります……。

 ところが、相手は百戦錬磨のスウィートパワー軍団。ここに“逸材”と見込まれたのですから、そう簡単に諦めてくれるわけはありません。当然ながら、その後もスカウトマンは諦めず、彼が甲子園を目指すような強豪高校に進学したあとも諦めず、口説き続け、また口説き続け……。そして、ついに高校3年の秋がやって来る。部活引退後、彼はついに、芸能界入りを決意します。ここに、5年越しの契約がようやく実を結ぶ。そして、一発目の仕事が今回の『中学聖日記』ですからね。いやはや、これはすごいことです。

 なんでもドラマのオーディションは1年がかりで行われたといい、500人以上の中から岡田くんが選ばれたとか。まあ多少“盛っている”部分はあるかもしれませんが、とはいえ実際、ドラマや映画にまったく出演経験のない新人が抜擢されたということで、さっそくネット上では、「“芸能界の政治力”が働いたのでは?」なんて声も上がっていましたが……。いやいや、プライムタイムのドラマで、しかも、今をときめくあの有村架純の相手役ですよ? 芸能界はそんなに簡単なものじゃない。ごくシンプルに、「岡田健史」という素材がよかった。それがすべてなのではないかと思います。

 まあもちろん、深夜帯のドラマの主演や、プライムタイムのドラマでも番手が低い脇役の役者であれば、芸能界のいろんな“行政”によってキャスティングが決まることもありますよ?(笑) あるいは今回の岡田健史くんだって、「あのスウィートパワーが推す人材だから」という程度の“忖度”は、局の側にあったかもしれません。けれど、どれもこれも、まずは岡田くんの圧倒的な素材のよさがあったればこそかと。芸能顔の内側に身を置く者としては、それが正直な実感ですね。

 さて、そんな期待の新人・岡田くんの記念すべき初デビュー作品となった今回のドラマですが、現在のところ、視聴率は第1話6.0%、第2話6.5%、第3話6.2%、第4話5.4%、第5話で6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)……とかなり低迷していますね。ただ、同作で今回演出を務めている塚原あゆ子さんという方が、『Nのために』(2014年)、『重版出来!』(2016年)、『アンナチュラル』(2018年/すべてTBS系)など、良作をたくさん手掛けてきた素晴らしい演出家さんなんですよ。冒頭で述べたように、テーマがテーマなのでかなり難しい作品になりそうなのを、有村架純さんも「塚原さんの演出なら」と受けたところも、あるんじゃないかと思うんですよね。

 岡田健史くんも、やはりデビュー作なので、最初からこなれた演技ができる、というわけにはなかなかいかないでしょうが、野球に打ち込んできたということですし、度胸、勝負強さはありそうですよね。なのでこの『中学聖日記』も、きっとここからよくなっていくんじゃないでしょうか。そういったもろもろの要素も踏まえつつ、同作のこれからの巻き返しに期待です!

(構成/白井月子)

1 2

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。