教師の妊娠、産休~育休に保護者がクレーム 学校はいかにして教員を守るか

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学校は教師を守れるか

 言うまでもなく、教員の妊娠にクレームを入れるという保護者の行為は狭量だろう。他者の妊娠に干渉する行為は人権侵害ともいえ、教員と保護者の関係においても例外ではないはずだ。教員は保護者の安心のためだけに存在するわけではない。そもそも「妊娠」は必ずしも個人で時期や状態をコントロール可能なものではないことを、保護者も現在進行形で子育て中の身であれば理解できないだろうか。

 重要なのは、学校側の対応だ。学校側が妊娠と出産による休職を迷惑扱いしていないか。万が一、保護者から教員の妊娠についてクレームが入った場合に、どう応じるか。色々な立場・思想の保護者がおり、クレームを学校側が未然に防ぐことはおそらく難しい。であれば、教員の妊娠にクレームを入れる保護者がいた場合、学校側が毅然とした対応で教員を守ることが望まれる。妊娠は無責任だなどという苦情は受け付けない、常識で考えてほしい、と突っぱねても良いのではないか。

 しかしそこには、当事者となる児童・生徒たちへの配慮が必要であることも忘れてはならない。クラス担任が産休に入るとなれば担任の交替は避けられないだろうが、しかし担任が替わることによって不安定になってしまう児童も出る可能性がある。

 実際に東京都23区内の公立小学校に一年生の息子が通学中のある母親は、今まさに息子の担任教諭が妊娠中だといい、保護者としての胸のうちを教えてくれた。

「担任の女性教諭が二学期の保護者会で妊娠を報告して、一部の保護者さんはざわつきました。二学期いっぱいで産休~育休に入るとのことで、三学期は別の教員が担任代理になります。その先生は子供たちに粘り強く接する穏やかな人で児童たちも懐いていたので、新しい先生にすぐ馴染めるのか、という不安はどの保護者も持っていると思います。さすがに『妊娠時期を考えてほしい』などという暴言は聞こえませんでしたが……」

 今のところクレームというほど強い直接的な反発は出ていないようだと言うが、多かれ少なかれ保護者の側に不安が渦巻くことは必然だ。学校側には引き継ぎやスクールカウンセラーとの連携をはじめ、きめ細やかな児童フォローが求められる場面となる。そういった点も踏まえると、教員が安心して妊娠・出産・育児を行えない状況を生み出しているのは、保護者のモラル意識の欠如だけではない。

 しかし学校側に、産休育休を控えた教員に適切な対応を取れる余裕があるか。人員補充や児童・生徒のフォローをしっかり行える環境が整えられているか。そう考えれば、学校単位にとどまらず多くの教員が負う過剰な業務負担の問題にもつながってくる。教員の妊娠をめぐる問題は、実は相当に根が深い。

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