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診療報酬の「妊婦加算」、批判の背景に不信感 負担増額の理由は

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Thinkstock/Photo by O_Lypa

 診療報酬の改定により今年4月から導入されている「妊婦加算」が、物議を醸している。

 「妊婦加算」は、妊婦が医療機関を受診した場合に診療費が加算される仕組みで、妊婦健診を除くすべての診療に適用される。妊婦加算の金額は、初診750円・再診380円。自己負担3割の妊婦ならば、初診225円・再診114円を追加料金として支払うことになり、また、夜間・休日・時間外などに受診するとさらに増額される。

 ちなみに今回の妊婦加算、実は6歳未満の患者の診療に適用されている「乳幼児加算」と同額である。ただ、現在多くの自治体が未就学児への医療費助成を行っており、そのため未就学児患者が医療サービスを受けても、保険診療の範囲であれば、自己負担額は実質0円。つまり「乳幼児加算」によって患者側の負担が増えることのないシステムが形成されており、実際に我が子を受診させた保護者が「乳幼児加算」を意識することは少ないだろう。

 しかし妊婦加算が適用される患者の多くは自己負担3割であり、生活保護やひとり親医療費助成などの対象になっていない限り、妊娠中に医療機関を受診すれば必然的に妊婦加算として追加料金を支払わなければならない。

 なぜ、「妊婦だから」という理由で診療費がプラスになるのか。そこには理由があるが、9月頃からTwitterなどでは妊婦加算に対する批判の声が寄せられるようになっていた。

 妊娠・出産にはただでさえお金がかかる。産前産後は働くことも制限される。それゆえに「なぜ妊婦の金銭的負担を増やすのか」「こんなことをされたら少子化はますます加速する」「妊婦加算をするのなら高齢加算だってあってもいいのでは」「妊婦税じゃないか」「コンタクトレンズ処方に妊婦加算?」等々、非難轟々だ。

 その背景には、なぜ「妊婦加算」が必要とされるに至ったのか、その理由がほとんど知られていないことがあるだろう。妊婦の診療において、医療者側が通常の患者以上の配慮を必要とすることは事実であり、検査や投薬など、母体や胎児に悪影響を及ぼさないよう気を配ることが求められる。まずそのことに異を唱える者はいないだろうが、その「配慮」が厄介だとして、妊婦の診察を敬遠する医療機関もあったという。特別な「配慮」は無料では続けられない……というのが「妊婦加算」制定の背景のひとつだ。

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