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政府は今月2日、“単純労働”を含む外国人労働者の受け入れを拡大する「出入国管理法改正案」を閣議決定し、来年4月から運用する予定だという。
改正案では、新に「特定技能」という留置資格を2段階に分けて設ける。「相当程度の知識や経験を要する技能」を持つ外国人には「特定技能1号」を付与し、在留期間は5年で、家族の帯同は認めないという。一方、「高度な技術」を持つ外国人には「特定技能2号」を付与し、家族の帯同なども許可され永住権の道も開けるそうだ。
さらに、現在就労を目的とした外国人の留置資格は、医師、弁護士、大学教授など「高度な専門性を保有する人材」に限られているが、新たに“単純労働”の分野でも外国人の受け入れができるようになるという。単純労働は14分野が検討されており、農業、漁業、建設業、外食業、宿泊業、介護業、自動車整備業など“人手不足”とされる分野が含まれている。
しかし、この政府が定める単純労働の14分野について「単純な労働ではない」という異論がネット上でわきあがっている。なかでも多くの異論が上がっているのは介護業だ。
介護業には国家資格も
平成29年に実施された公益財団法人介護労働安定センターの調査によると、介護に関わる調査対象事業所の約66%が「職員に不足感があると」と回答しており、4年連続で悪化しているという。不足している理由としては、「採用が困難」が最も多かった。
介護職は重労働であるにも関わらず賃金が低いことが問題視されており、人材確保が難しい主な理由はそこにあるだろう。日本の高齢化は進む一方で、国にとって介護職の人材確保は必須だ。こういった状況を踏まえ、政府は“単純労働”に介護職を入れたと考えられる。
しかし、介護業は単純労働なのだろうか。
介護業にはさまざまな種類の資格が存在し、「介護福祉士」にいたっては国家資格である。無資格であっても介護補助といった形で働ける施設は存在するが、基本的に高齢者の食事や入浴の手伝い、排泄の処理、歩行の補助などは、資格試験が設けられているほど知識と経験が必要な分野と言える。
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