介護業は“単純労働”ではない 「出入国管理法改正案」の不安点

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 また、無資格でも受け入れ、介護補助として働きながら資格の獲得を目指すにしても、業界全体が人手不足である現状で、「外国人労働者を受け入れ、教育をする」ということが事業所の重荷になることは間違いない。政府は実際の現場を見た上で介護業を単純労働と判断したのか甚だ疑問である。

 そのほか、自動車整備業も単純労働に分類されているが、自動車整備士という国家資格もある。単純労働に分類されたものの、実質は “単純労働”と言えないであろう業種は少なくない。

基準を明確化すべき

 実際にこれら14分野の現場で働いている人達からは、「作業が単純ではない」という意見と共に、“単純労働”という呼び方に違和感を覚える声も出ている。

 どんな職であっても“単純”ではない。深く考えなくてもわかることだ。たとえば資格が必要ないとされる飲食業やホテル業であっても、ただ単に決まった作業を繰り返しすればいいわけではなく、頭を使いながら臨機応変に働くことが求められる。特に接客業であれば、客とのコミュニケーション力も要求されるだろう。“単純労働”という名称からして誤解を招く。

 外国人労働者の受け入れ分野拡大が人手不足を補うために急務だとしても、その受け入れ先となる現場をよく目を向けた上で、果たして受け入れ可能な業種かどうか、検討しなければならない。そのうえで単純労働か否かも含め、基準を明確化してほしい。もちろん日本における外国人労働者をめぐる問題はこれだけではなく、課題は山積している。性急な議論にならないよう、監視していきたい。

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