演技力を酷評されてきた東出昌大が、三島由紀夫作品の難役で開花!!

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豊饒の海』紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで12/2まで上演中

 劇場へ足を運んだ観客と演じ手だけが共有することができる、その場限りのエンターテインメント、舞台。まったく同じものは二度とはないからこそ、時に舞台では、ドラマや映画などの映像では踏み込めない大胆できわどい表現が可能です。

 小説が原作の演劇作品は、枚挙にいとまがありません。文豪と呼ばれる書き手によるものならばなおさらですが、日本を代表する小説家のひとりで劇作家でもある三島由紀夫の作品が、平成も最後の年になって初めて舞台化される、と聞けば、演劇ファンでなくとも興味をひかれるというもの。そのチャレンジングな公演に、舞台への出演経験が一度しかない東出昌大が主演するといえば、なおさらではないでしょうか。

繊細な青年を演じる

 現在上演中の「豊饒の海」は、三島が割腹自殺という衝撃の死を迎える当日に完成させた絶筆作『豊饒の海』の全4部作を、一本の作品として初の舞台化したもの。脚本は、心の機微をていねいに描く作風で、“オトナ”な演劇ファンの支持を集める、てがみ座主宰の長田育恵、演出はイギリス・ロンドンの老舗劇場でケビン・スペイシーが芸術監督を務めるオールドヴィック・シアターのアソシエイトディレクターである人気演出家、マックス・ウェブスターが手掛けています。

 原作の『豊饒の海』は、第1部『春の海』、第2部『奔馬』、第3部『暁の寺』、第4部『天人五衰』からなる、輪廻転生をテーマにした長編小説。このうち『春の海』だけは、近年では2012年に宝塚歌劇団でミュージカル化されるなど、単独での舞台化が幾度か行われています。今回の上演では『春の海』をベースに、そこから約20年ずつ後の時代である『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』の出来事が、万華鏡のように入り混じり並行して展開されていきます。

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演技力を酷評されてきた東出昌大が、三島由紀夫作品の難役で開花!!の画像2 ウェジー 2018.11.06

 明治の末期、新興貴族の子息、松枝清顕(まつがえ きよあき)は、姉弟のように育てられた幼馴染の綾倉聡子から心を寄せられるものの冷たくあたり、失意の彼女は皇族と婚約。手の届かない存在になったことで自分も聡子への恋心を抱いていることに気づいた清顕は、親友である本多繁邦の協力で彼女と逢瀬を遂げます。妊娠してしまった聡子は、破談の責任をとるため出家し、雪の中を赴き懇願する清顕に会うことを許しませんでした。清顕は肺炎をこじらせ、本多に「又、会ふぜ、きつと会う」という言葉を残し、はたちの若さで亡くなります。

 残された本多はその後、清顕と同じ左の脇に3つのほくろのある、彼が生まれ変わった人物たち――武力テロでの世直しの志を持つ飯沼勲、学友だったタイの王族のゆかりの少女ジン・ジャン、16歳の安永透――とめぐり合っていきます。

 東出が演じたのは、『春の海』の主人公である清顕です。出世作のNHK朝の連続テレビ小説「ごちそうさん」以降、話題作や意欲作にも数多く出演していますが、演技派の役者かと問われれば、ハテナがついてしまうのが正直なところ。しかし、純粋で繊細ながらも日常生活に倦んでいる清顕像に、笑顔の百面相でハマっていました。

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