年収1000万円でもマンションが買えなくなる? 首都圏マンションはもはや異常事態

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Thinkstock/Photo by paprikaworks

 ここ数年、首都圏のマンション価格が高騰している。

 それでも多くの人が何とかマンションを買えているのは、空前の低金利によって月々のローン返済額が低く抑えられているからである。

 量的緩和策がもたらした異常な低金利が終了したその時には、年収1000万円でも首都圏でマンションを買うのは困難になっている可能性が高い。

マンションやクルマの価格は上昇一直線

 世の中はデフレの大合唱だが、それは身の回りにある一部の商品の動向に過ぎない。マンションやクルマといった高額商品の価格はデフレなど関係なく一直線に上昇している。

 不動産経済研究所の調査によると、2018年上半期における新築マンション(首都圏)平均価格は5962万円だった。2010年の価格は4716万円だったので、8年間で何と1200万円も上昇したことになる。

 マンションと異なりクルマは平均価格の算出が困難だが、トヨタ自動車の決算から1台あたりの価格を推定すると、2018年は約300万円、2010年は260万円だったので、15%以上値上がりしている。

 デフレにかかわらずマンションやクルマの価格が上昇しているのは、資材価格がグローバルで高騰しているからである。クルマの製造やマンションの建設には、人件費に加えて多額の原材料費が必要となる。

 日本経済は過去20年間ずっと横ばいが続いているが、その間、諸外国はGDP(国内総生産)を1.5倍から2倍に拡大しており、物価もその分だけ上昇している。原材料費は世界共通なので、日本だけクルマやマンションを安く売るということはできないのだ。マンションの場合には人手不足もあり建設費も高騰している。

 給料が上がらないのに、マンションやクルマの価格が上昇する現象は、経済が弱体化している日本にとっては避けて通ることができない現実といえる。

 だがマンション価格が大幅に上がっているにもかかわらず、不思議なことに新築マンションはまだ売れ続けている。都心に建設されるタワーマンションの一部は、富裕層がセカンドハウス向けに購入したり、外国人が投資目的で購入したりしているが、これは全体のごく一部である。

 これほど林立しているタワマン物件を購入している人の大半は自己居住目的である。多くの消費者がマンションを購入できているのは、量的緩和策による「異常」な低金利のおかげといってよい。

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