保阪尚希、ムロツヨシ、そして真逆の土屋太鳳 「“不幸な出自”こそが役者を輝かせる」は本当か!?

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幸福な家庭で育った、土屋太鳳という稀有な才能

 これは僕の見解なのですが、表現するということ、特に役者や歌を自分でつくるミュージシャンは、人間に“厚み”がないと、人に訴えかけるものってなかなかできないんじゃないかと思うんです。じゃあその“厚み”がどうやってできるか? というと、何不自由なく、すくすく伸び伸びと育った子にはそれを得ることがなかなか難しい。

 幸せな家庭で何不自由なく育ったような子で、そういった“厚み”を自分の中でせめぎ合い醸成しながら勝ち取っていける子って、たとえば土屋太鳳ちゃんみたいなレアな例を除くと、ほとんどないんですよ。土屋太鳳ちゃんはおそらく、自分で自分を追い込んで高めていくことができるタイプの子なんですよね。

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『ザテレビジョン』首都圏関東版 2018年11/2号(KADOKAWA)中央が松田龍平

 でもみんながみんなそうじゃなくて、たとえば瑛太くんや、あと松田龍平くんなんかはその人自身が持ち合わせているものがすごく強い。もちろん本人の努力もあると思いますけどが、やっぱり松田優作というキョーレツな父親を早くに亡くし、まだ中学生のときに大島渚監督のもと映画デビューというすごい体験をして。相当いろんなことがあったと思うし、たくさんの修羅場を乗り越えてきていると思う。そういう男が優しい男を演じるときの“すごみ”というか……今クールで彼が出演しているドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)を見ていても、ほかの役者さんとは“深み”が全然違うんだよな……とため息が出てきます。

 僕も長年芸能マネージャーの仕事をしていますけど、自分の担当タレントたちをずっと見てきていてわかったことがあります。「演技」って、「ゼロ」から「1」を生むことじゃないんですよね。そうではなくて、自分の中にある本当にちっちゃなちっちゃな要素を集めて集めて、それを脚本や演出など、いろんな力を借りて、そして何倍に増幅させて、出力する。それが、「演技」ってことなんだなと。

 でも自分の中にそういう要素、“種”のようなものがないと、そもそも演技ってものがなかなか成立しないんじゃないかと思います。人をハッとさせる、そういう“種”のようなものを、自分の人生の中にあらかじめ持っているかどうかがすごく大事で。不幸な生い立ちじゃないと芸能人として大成しない……というわけでは決してないけれど、やはりそういうハードな環境から自分の人生を勝ち取ろうとしていく過程でこそ、さっき言及したような自分の中の“核”を得ることができる……という例は多いんですよね。

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2015年2月発売、『土屋太鳳1stフォトブック「DOCUMENT」 』(東京ニュース通信社)

 そういう意味でも本当にレアというか面白いのは、さっきも名前を挙げた土屋太鳳ちゃん。小さい頃から日本舞踊はクラシックバレエなどたくさんの習い事に通っていて、日本女子体育大学に進学したことでも知られる彼女は、普通にいい家庭で幸せに育ってきた、本当にいいお嬢さんなんです。でも、だからこそ、女優として必要な“種”を得るにはどうしたらいいんだろうと、すごく悩んだんじゃないかと思うんですよね。その葛藤の中で、演技のための“種”をどうにかこうにかして生み出していける……そういうタイプの女優さんなのだと思います。

 思わずアツく語ってしまいました、すみません。みなさん、芸能人というと、容姿や才能に恵まれたラッキーな人が華やかな世界でラクして活躍しているように見えるかもしれませんが、「いい演技」の裏には、こういった人生の苦労や、見えざる努力があるんです! それを少しでも知っていただけるとうれしいなと思いますね。

(構成/白井月子)

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