21日、外国人労働者の受け入れ拡大に向け、入管法改定案が衆院法務委員会で審議入りしたが、そもそも「受け入れ拡大しても外国人は日本に働きに来てくれるのか?」という点が気になって仕方ない。
「多くの外国人は日本で働くことを望んでいる」との前提で考えている国会議員は少なくないように見える。だが、日本で働くかどうかは当然、外国人に決定権がある。日本で働くことに魅力を感じなければ、いくら規制緩和をしても意味はない。そしてそれは日本の「どこで」「どんなふうに」働くかにもよるだろう。
スイスのビジネススクール「国際経営開発研究所(IMD)」は、63カ国・地域を対象に人材投資・開発や労働者に対する魅力、教育システムなど30項目を点数化した「世界人材競争力調査」を発表した。1位はスイスが選出され、以降、デンマーク、ノルウェー、オーストリアと続き、日本は29位に留まった。この調査から見れば、日本で働くことは外国人から見て、あまり魅力的ではないと言うことができる。
OECD(経済協力開発機構)の調査によれば、日本の労働生産性はOECD加盟34カ国中21位で、先進7カ国に限ると最下位だ。世界経済フォーラムが発表した男女格差の程度を示す「ジェンダーギャップ指数」でも、144カ国中114位。労働生産性が低く、男女差別が蔓延している日本へ、わざわざ「働きたい」と志してやって来る外国人がどれほどいるだろうか。
この5年間で2万5000人の外国人技能実習生が「失踪」している
労働生産性や男女差別だけでなく、外国人労働者への差別的な待遇も明らかになっている。法務省が今年発表した「技能実習制度の現状」によると、2017年に失踪した外国人技能実習生の数は7089人。ここ5年間での失踪者数は約2万5000人にも上った。
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