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「幼保無償化」と「妊婦加算」、限られた財源を子育てにどう生かすか

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Thinkstock/Photo by maroke

 厚労省の管轄で進む、妊娠・出産と子育てをめぐる施策の議論が紛糾している。「幼保無償化」、およびすでにスタートしている「妊婦加算」だ。

 幼稚園・保育所・認定こども園等を利用する3~5歳の全ての子どもたちの利用料および住民非課税世帯の0~2歳の子どもたちの利用料を無償化する「幼保無償化」は、来年4月より段階的にスタートし、来年10月には全面的に施行される予定だ。

 しかしながら「幼保無償化」に対しては、無償化による待機児童増加や保育士不足など不安や疑問の声が少なくなかった。保育士や幼稚園教諭の賃金は、現在も低い水準にあり、保育士・幼稚園教諭を対象にしたアンケート調査では、およそ7割が「幼保無償化に反対」と回答している。

 また、認可保育園の利用料は、保護者の所得税に応じて決められることから、3~5歳児クラスの「無償化」の恩恵をより受けられるのは富裕層であることも指摘されている。特に保育料の高くなる0~2歳児クラスは、これまでどおり保護者の所得税納税額に準じた金額が課される。こうしたことから、「無償化」よりも待機児童ゼロの一刻も早い実現をと求める声も大きい。

 今月に入ってからは、「幼保無償化」の財源をめぐり、国と自治体の意見が対立している。

 11月8日の「朝日新聞」によると、〈2019年10月に始まる幼児教育・保育の無償化について、政府は必要財源を8300億円と見込み、この5割超を市町村の負担とする方向で検討〉〈19年10月からの半年間に限り市町村分の2200億円を全額国費で負担する考え〉だという。つまり、20年4月以降「幼保無償化」で生じる費用の5割超は国ではなく自治体負担でいく、という方向性だ。

 市町村消費税率10%への引き上げに伴う増収分によって〈地方も財源を捻出できる〉と政府は目論んでいるが、全国市長会は「無償化は国が決めたこと」「地方のお金の使い方を、国が指定するのはおかしい。無償化自体に反対しないといけないかもしれない」「政府は無償化の財源を示していなかった。地方の増収分を充てるべきではなく、国費で全額確保してもらいたい」と反発の姿勢を示している。

 11月21日には、幼保無償化に費用負担について話し合うため、関係閣僚と地方の代表者による会合が都内で開かれたが、議論は平行線のまま終わったという。

 「保育園を考える親の会」が、東京・千葉・埼玉・神奈川の主要市区および政令指定市(100市区)を対象に実施した緊急アンケートの中間集計結果(11月20日時点、回答36市区)によれば、自治体負担のある幼保無償化について、34市区中14の自治体が「反対」、20の自治体が「無償化より優先してほしい政策がある」と回答し、賛成した自治体はゼロだったという。36市区中24の自治体が、自治体負担が発生することによって保育行政に「悪影響」を与えると回答し、回答内容からは待機児童対策や保育の質が懸念されていることが窺える。

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