1兆円企業に躍進のミネベアミツミ、車載用電子部品メーカーとしての本格展開

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ミネベアミツミ株式会社公式サイトより

 電機・エレクトロニクス業界において、時代のニーズを取り込みながら変貌を遂げてきた企業を紹介するシリーズの第2回は「ミネベアミツミ」。

 失敗例から学べることも多いが、成功例にはやはり素直に多くの示唆が隠れている。得意分野で「この道ひと筋」というあり方は、会社も個人も理想的だが、現実には難しい。

 特に会社経営においては、どのように変貌していくかが成長の、そして生き残りのカギを握る。生き残っている会社、成長している会社の多くは、時代のニーズをうまく取り入れて、自身の形を変化させ続けている。

 今回はミネベアミツミを取り上げたい。

4年で倍増。ついに売上高1兆円企業に

 2018年11月、ミネベアミツミは自動車ドア部品などを手がけるユーシンの買収を発表した。ミネベアミツミはTOB(株式公開買い付け)によりユーシン株を買い付け、最終的には完全子会社化する予定である。

 ミネベアミツミは、軸受けとモータを手がけるミネベアと、電子部品メーカーのミツミ電機が経営統合し、2017年1月に現体制となった。経営統合を決めたのは2015年である。15年3月期時点のミネベアの売上高は5,006億円だった。ミツミ電機との経営統合を経てさらに成長し、18年3月期売上高は8,791億円にまで伸びた。そして今回ユーシンの買収を経て、ユーシンの前期(17年12月期)売上高1,700億円が加わることで、ついに1兆円台に乗ることになる。

 また、ミネベアミツミは車載(自動車向け部品)事業として現在年間1,300億円の売り上げがあるが、買収により同市場の売上規模は3,000億円にまで達することになる。ミネベアミツミの18年3月期売上高8,791億円のうち、自動車関連は15%で約1,300億円で、これに自動車市場向け専業ユーシンの17年12月期売上高1,686億円が加わることで、倍増以上の3,000億円規模に膨れあがるという図式だ。

 この自動車市場向けの拡大こそがミネベアミツミのユーシン買収の最大の狙いであり、今後の成長戦略となっている。

ベアリングとモータを手がけていたミネベア 

 もともとミネベアはベアリング(軸受け)とモータのメーカーだった。そのミネベアが半導体を含めて総合的に電子部品を手がけていたミツミ電機との経営統合を決めたのは2015年。ミツミ電機と経営統合したことで社名をミネベアミツミに変更した。

 買収を決めた15年3月期のミネベアの売上高は5,006億円。その後ミツミ電機のおよそ1,500億円余を事実上取り込み、この時点で年間売上高は6,600億円規模になっている。

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