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入管法の強行採決「経済界の要請に応える」ために労働者の人権を無視する非道さ

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写真:日刊現代/アフロ 入管難民法などの改正案を採決する衆院本会議で、投票する山下貴司法相(右端)と安倍晋三首相

 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法(以下、入管法)改正案が、11月27日夜の衆議院本会議で、自民・公明両党や日本維新の会などの賛成多数で可決された。28日からは参議院での審議が始まり、与党は12月10日まで開かれる臨時国会会期中の成立と、来年4月の施行を目指す方針だという。

 これに先立ち11月27日夕方に開かれた衆議院法務委員会では、与党が野党の反対を押し切る形で採決を強行。野党議員が委員長席を囲みマイクを奪おうとする一幕もあった。また、採決を阻止すべく野党は山下貴司法相に対する不信任決議案も提出していたが、こちらも否決された。

 入管法改正案が審議入りしたのは11月21日。それからわずか1週間で衆院法務委が採決を行うという事態に、国会周辺では全労連らが集まり、抗議運動が行われていた。なぜこれほど急いでいるのか、不可解に思うのは当然だ。

 入管法改正の採決を急ピッチで進める理由として、政府与党は「労働力が足りないという経済界などからの要請に応え、来年4月1日から新しい制度を始めるためには、この臨時国会で法案を成立させないと間に合わないから」と説明する。しかし法案だけ成立させたところで、4月から問題なくスタートできるのかは疑問だろう。

 入管法改正案では、いわゆる“単純労働”を含む分野で外国人労働者の受け入れを拡大し、「特定技能」という在留資格を「1号」「2号」の2段階で設ける。「特定技能1号」農業や建設業などの14分野の“単純労働”において「相当程度の知識や経験を要する技能」を持つ外国人に付与され、在留期間は5年、家族の帯同は認められない。「特定技能2号」は「高度な技術」を持つ外国人に付与され、家族の帯同も認められ、在留期間は無期限だ。

 「特定技能1号」にあたる“単純労働”として検討されている14分野には、農業、漁業、建設業、外食業、宿泊業、介護業、自動車整備業などがあるが、いずれも低賃金と人手不足が問題となっている分野である。そして実際は単純作業を繰り返せばよいという仕事ではなく、無資格で就けるとしても専門知識やコミュニケーション能力が求められるため、“単純労働”と称すること自体がおかしい。

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