日本で軽んじられる騒音被害は「現代の伝染病」メンタルヘルスにも悪影響

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 また、騒音は住民の生理的機能に急性的・慢性的な悪影響を及ぼすので、長期曝露によって高血圧や虚血性心疾患などの永続的な悪影響を与えると考えられる。前述の研究でも同様の傾向が報告されている。

 そのほか、騒音は読解力,集中力,記憶力などを低下させ、作業・学習への認知作業に悪影響をもたらす。社会的影響、行動への影響、不快感(アノイアンス)を抱かせ、社会的行動へも影響を与える。騒音の曝露期間が長いほど影響も大きいため、血圧上昇やストレスホルモン濃度の増加などの生理学的な変化も起きる。

日本の騒音被害はかなり深刻な状況!?

 騒音がどれほど深刻で回復困難な障害や重篤な疾患を招いているのかという国際的な常識について、日本は意外に無頓着だ。

 日本では、騒音公害は環境基本法により、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、振動、地盤沈下、悪臭とともに典型七公害に含まれている。2014年度の総務省における公害苦情調査において、騒音公害の件数は大気汚染を抜いて最多事例となった(平成26年度公害苦情調査~公害等調整委員会)。

 しかし、苦情件数の集計は自治体に届いた苦情のみが対象で警察が対応した件数は含まれていない。さらに、同一発生源に対する苦情は1件として集計されるという不思議な件数処理となっている。たとえば、米軍基地周辺で寄せられる苦情がいかに多くても、騒音源はひとつであれば苦情件数は1件だ。警察が対応した騒音苦情は含まれておらず、日本の騒音被害は数字に表れている以上に深刻だと考えざるをえない。

 大きな騒音被害の研究対象で、多くの訴訟も起きている米軍基地に関する騒音汚染調査からもその深刻さが読み取れる。

 「航空機騒音による健康への影響に関する調査報告書(2000/7/14 改訂版)」によると、米軍嘉手納基地の航空機騒音による心筋梗塞や脳卒中によって毎年4人が死亡し、毎年30人が心筋梗塞や脳血管障害に罹患しているという。さらに、夜間騒音によって軽度以上の睡眠障害に罹患している嘉手納飛行場周辺の住民は約1万人、過去の騒音による高血圧の住民は1,000人に上っているようだ。

 さらに騒音汚染の専門家の北海道大学の松井利仁教授によると、米軍嘉手納基地の航空機騒音は戦後70年で約300人の命を奪った大規模な公害病だと指摘している。

 もうひとつ、騒音被害で知っておきたいのは「低周波騒音」による健康被害だ。

 消費者庁の消費者安全調査委員会によると、東京ガスなどが販売する「エネファーム」や「エコウィル」などの家庭用ガス発電システムは100Hz以下の低周波音を発生しており、その低周波の音によって不眠や頭痛などの健康被害が生じる可能性があると報告している。運転音の低減や騒音の軽減など、ガス会社やメーカーに対する何らかの規制が必要と主張しており、「低周波騒音」による健康被害は、早急かつ誠実に解明する必要があるだろう。

 WHOは騒音を「現代の伝染病」と呼んでいる。日本でも同様な意識の啓発と取組みが必要だ。

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