100円ショップ、高品質化で下請けの競争激化でも「ブラックではない」その理由

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 「2014年にダイソーを展開する大創産業が、違法に売れ残った商品を返品したなどとして、公正取引委員会から下請法違反で再発防止の勧告を受けたことがありました。これをきっかけに、業界のコンプライアンスを守るという意識は高まり、下請法を順守するということが徹底されるようになったのです。

 ちなみに、同じく2014年には30億円以上の負債額で自己破産した下請け企業があります。この企業は、大口の取引先だった100円ショップへの即納体制を整えるため、“見込み生産”を常態化させた結果、在庫負担が膨らんでしまい、資金繰りが逼迫したようです。在庫となる商品を作るために設備を動かして、人を動かしていますし、在庫を管理する場所も必要となります。これらの設備や人、場所には多くのコストがかかっているわけです。在庫が商品化されなければ現金が出ていくばかりで、現金が入ってこない状況になりますので、経営状態は厳しくなることが目に見えています。

 この企業の在庫が膨らんだ主要因としては、大口取引先への依存体質になってしまっていたことが想定されます。発注があると見込んで生産を続けてきたため、発注数を予測する精度が鈍くなり、需要の変化に対応することができなかったのかもしれません。

 現在はこうした事態が起こらないよう、たとえば大手100円ショップのセリアでは、販売状況を下請け企業に開示しています。今後、“見込み生産”で破綻する下請け企業は出にくいのではないでしょうか」(同)

 では、この先も100円ショップというビジネスモデルは安泰なのだろうか。今後の100円ショップ業界の将来について伺った。

 「まだまだ伸びている業界ですし、消費者を驚かせるような商品を提供し続けることができれば、この先も安泰でさらなる展開も期待できると思っています。ただし、100円ショップ側の企業努力だけではなかなかいい商品は生まれないので、下請け企業と協力しながら、消費者の要望に応えられる商品を作っていくということが、業界全体にとって重要でしょう。

 一例ですが、エコー金属という下請け企業では、セリア向けにブランド部を立ち上げて、他社よりも細かい要望に応えるという工夫を行っています。このように100円ショップ側と下請け企業側が、いかに良好な関係を築いていけるかに、100円ショップ業界の将来がかかっているでしょう」(同)

 100円ショップも下請け企業も、激しく競り合いながらも企業努力を続け、発展してきた業界である。競争が過当なものとならず、今後もこのビジネスモデルが健全に維持されていくことが、多くの消費者が望んでいることなのではないだろうか。

(文・取材=後藤拓也[A4studio])

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青山烈士 マーケティング戦略コンサルタント、ファイナンシャルプランナー
グロービス経営大学院大学MBA(経営学修士)。 コンビニチェーン、外資系保険会社、NTTグループ企業を経て、マーケティング会社に在籍中。 Webメディアなどの記事の執筆 、人気メルマガ「MBAが教える企業分析」の発行者としても活躍している。
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