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パワーカップルは「夫婦のマイノリティー」 平成も終わるのに昭和の価値観で足を引っ張られる夫婦

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生き延びるためのマネー/川部紀子

 ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の川部紀子です。共働き世帯が増え続け、世帯数で専業主婦世帯を逆転してから20年超が過ぎました。その差は開く一方で、最新のデータでは6割以上の夫婦が共働きです。

 2013年に刊行された『夫婦格差社会-二極化する結婚のかたち』(中公新書)で「パワーカップル」という言葉が登場したことをご存知でしょうか? もともとは高所得者同士の夫婦を「パワーカップル」、低所得者同士の夫婦を「ウィークカップル」として、世帯収入に格差が生まれていることを指摘するものでした。しかし次第に定義があいまいになってきています。

 筆者はこの言葉が広く定着するかどうかを注目してきたのですが、ここにきて産経新聞の報道で、大きな話題になりました。今回は「パワーカップル」について考えてみたいと思います。

パワーカップルとは?

 パワーカップルとはどんな夫婦なのでしょう。ニッセイ基礎研究所が2017年に発表した内容によれば「夫婦ともに年収700万円超で全体の約0.5%」とのこと。一方、三菱総合研究所が2018年に発表した内容では「夫の年収が600万円以上、妻が400万円以上で全体の約1%」となっています。上昇しない平均年収や世相を反映してか、三菱総合研究所の方がかなり現実的な年収に近い印象を覚えますが、それでも夫婦全体の1%ですから極めて少数派と言えます。

 このパワーカップルが一体何だというのでしょう。三菱総合研究所の発表を受けて書かれた産経新聞の記事によると、「同じ世帯年収1千万円以上でも、夫が1人でほとんどを稼ぐ家庭と比べると、パワーカップルの月間消費支出総額は約1.4倍も多い」とのこと。見出しには「高い購買力・情報発信力…企業が熱視線」とも書かれています。

 私も、体感として全くその通りと感じています。女性が専業主婦、パート主婦の場合、どうも「節約」を重要な任務であり美徳と捉えている節があり、夫は給料が振り込まれる口座のキャッシュカードも管理も妻に全て託し、毎月低額かつ定額のお小遣いで過ごしている夫婦が多いのが現実です。これでは、パワーカップルと比べるまでもなく、購買力は絶対値で低いはずです。

 このような夫婦こそ「健全な家庭」というイメージが、親の世代から脈々と受け継がれて残っていると感じます。そして、パワーカップルの比率の低さを見ると、日本にはこのような夫婦が相当数いることも見当がつきます。

 一方、パワーカップルであれば、お互いに自由なお金を多少なりとも持っています。妻が全体の管理をしているケースは多いのですが、妻の購買力は専業主婦、パート主婦よりも高いことはほぼ確実です。

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川部紀子

ファイナンシャルプランナー(CFP® 1級FP技能士)。社会保険労務士。1973年北海道生まれ。大手生命保険会社に8年間勤務し、営業の現場で約1000人の相談・ライフプランニングに携わる。その間、父ががんに罹り障害者の母を残し他界。自身もがんの疑いで入院する。母の介護認定を機に27歳にしてバリアフリーマンションを購入。生死とお金に翻弄される20代を過ごし、生きるためのお金と知識の必要性を痛感する。保険以外の知識も広めるべく30歳でFP事務所起業。後に社労士資格も取得し、現在「FP・社労士事務所川部商店」代表。お金に関するキャリアは20年超。個人レクチャー、講演の受講者は3万人を超えた。テレビ、ラジオ等のメディア出演も多数。新刊『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる!お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)が発売中。

twitter:@kawabenoriko

サイト:FP・社労士事務所 川部商店 川部紀子】

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