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『獣になれない私たち』は『逃げ恥』に乗っかった…はウソ。芸能マネが知るドラマ制作の舞台ウラ

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『獣になれない私たち』脚本家の本心と、北川悦吏子へのNHKの困惑 芸能マネージャーが語る「ドラマ制作」舞台ウラの画像1

「現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”」第6回

 どうも、ドラマ大好き芸能マネージャー、芸能吉之助です。

 今クールの連続ドラマもいよいよ終盤戦に入ってきました。みなさん、ハマったドラマはありますか?

 初回の視聴率が高かったのは、さすが安定のテレ朝ドラマ『相棒season17』(今回も“相棒”は反町隆史)と『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(主演は安定の米倉涼子)、話題性の高さでは『今日から俺は!!』(日本テレビ系)あたりでしょうか。主演の賀来賢人、伊藤健太郎や清野菜名、橋本環奈らキャストたちの顔芸を含むギャグの連発、そして小栗旬や山田孝之など超豪華ゲストが理髪店の店員や風俗店の店員など「まさかこんな役で!?」というチョイ役で登場するなどで、SNSやネットニュースは毎回大騒ぎでした。

 その他、ムロツヨシの二枚目演技が意外(失礼!)な大ハマリを見せた『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)や、「(教師と中学生男子の恋愛が)気持ち悪い」「黒岩くん(岡田健史演じる男子生徒)にときめく」と好き嫌いがハッキリと分かれてしまった有村架純ちゃん主演の『中学聖日記』(TBS系)がよく話題になっていました。

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日本テレビ『獣になれない私たち』公式サイトより

 そんな中、僕が一番楽しみにしていたのは、なんといっても『獣になれない私たち』(日本テレビ系)です! 新垣結衣ちゃん主演×野木亜紀子さん脚本という、ちょうど2年前に大ヒットを記録した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)タッグの再来とあって、世間的にも事前の期待度・注目度はぶっちぎりナンバーワンだったのですが……フタを開けてみたら、視聴率は初回11.5%→第2回8.5%という急落ぶり。後半に向けてだんだん持ち直してきたものの、6%台まで下がった回もあったりして、かなり拍子抜けというか、トホホな結果となってしまいました。

 これはたぶん、第1回でガッキー演じる主人公の苦悩をじっくり描いたせいでしょうね。強烈なワンマン社長のパワハラ、クライアント先でのセクハラ、田中圭演じる恋人との行き詰まった関係……。野木亜紀子さんの脚本がうまいだけに、リアルすぎて見ていて胸が詰まるほどでした。『逃げ恥』のような明るいラブコメとガッキーの弾ける笑顔を期待していたところにあの内容ですから、初回を見て脱落した人が多かったんでしょうね。

 でも、脚本も演出もキャストの演技も、すみずみまでつくり手の魂が感じられるとても面白いドラマで、僕は大好きですよ~!

「『獣になれない私たち』は『逃げ恥』に乗っかった」のウソ

 脚本の野木亜紀子さんは、みなさんもご存知の通り超売れっ子の脚本家。役者に「この人の脚本で演じたい」と、今一番思われている人といってもいいんじゃないかな。新垣結衣ちゃん主演だった『空飛ぶ広報室』(2013年、TBS系)、黒木華ちゃん主演だった『重版出来!』(2016年、TBS系)、そして『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年、TBS系)など原作モノを多く手がけ、満を持して世に放った久々のオリジナル脚本が、石原さとみちゃん主演の『アンナチュラル』(2018年、TBS系)。このドラマのヒットで、「この人の脚本なら見てみようかな」と思わせる、人気脚本家の地位を盤石にした感がありますね。宮藤官九郎さん、岡田惠和さん、遊川和彦さん、坂元裕二さん、古沢良太さん、森下佳子さんのように、脚本家の名前で、ある一定の視聴率を見込めるポジションです。

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2017年5月に発売された『逃げるは恥だが役に立つ シナリオブック 制作陣が明かすドラマの舞台裏話満載!』(講談社)

 今回の『獣になれない私たち』は、野木さん×ガッキーの再タッグということで「ヒットした『逃げ恥』の二匹目のドジョウを狙ってる」なんて、サイゾーみたいな(笑)いろんなメディアがテキトーな記事を書いてたけど、んなわけないでしょ! 逃げ恥がヒットする前からすでに考えていた企画だと思いますよ。

 というのも、ドラマ制作で売れっ子の脚本家さんを使いたいといったような場合、主要キャストよりもまず先に、脚本家を押さえるんですよ。野木さんクラスになると、たぶん2年以上先のスケジュールしか押さえられないでしょうね。

 脚本って、やっぱり準備にものすごく時間がかかるんですよ。特にオリジナル脚本の場合、何をテーマにするのか、そのためにはどういう取材が必要になるのか。小説家もそうですけど、たとえば林真理子さんがNHK大河ドラマの原作となった小説『西郷どん!』を書いたときだって、西郷隆盛ゆかりの地を訪ねて、遺族に会って……というところからのリサーチを1~2年くらいかけてやって、それからやっと執筆を始めたらしいです。脚本を書くのもそれに近い作業で、ちゃんとしたものを書こうと思ったら、そんなに短期間ではできない。

 でも一時期、そういう手間を惜しんでお手軽に書かれたドラマが増えちゃったから、ドラマの質が下がってしまって、みんなが原作モノに逃げたという時期がありました。ドラマの原作になるマンガや小説って、編集者や作者によってすでにものすごくリサーチされて完成されたものだから、準備期間が短くてもすぐに脚本化しやすい。オリジナル脚本で、面白い作品を作るっていうのは、やっぱりすごく骨が折れることなんです。

 主要キャストのスケジュールを押さえるのももちろん大事なんだけど、それは、撮る時期をずらしたりとかでなんとかなるものなんですよ。たとえば、『アンナチュラル』や、今放送している『今日から俺は!!』は、実はオンエア前に全部撮り終わっちゃってる。脚本さえあれば、そういうやり方もできるので、とにかく、まずは脚本がどうなるかが一番大事なんですね。

 『獣になれない私たち』は、プロットの段階で、野木亜紀子さん、演出の水田伸生さん、プロデューサーの3人で「このキャラを演じるのは誰がいい?」と話し合って、当て書き半分、キャラ先行半分で書いたらしいので、最初から『逃げ恥』の“二匹目のドジョウ狙い”だったなんて志の低い作品じゃ、絶対にないんですよ。僕がこの連載を始めた理由でもあるんだけど、ほんと、お粗末で好き勝手言ってるアヤシイ記事ばっかり掲載してるウェブメディアが多いんですよね。

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芸能吉之助

弱小芸能プロダクション“X”の代表を務める、30代後半の芸能マネージャー。趣味は食べ歩きで、出没エリアは四谷・荒木町。座右の銘は「転がる石には苔が生えぬ」

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