「バズったもの勝ち」と語る野木亜紀子氏
この10月に『獣になれない私たち』と並行して放送されていた野木さん脚本のドラマ『フェイクニュース』(NHK総合)も、まさにそういったメディアの誤報やウソのニュースをテーマにした内容でした。
最近、SNSで情報発信をしている脚本家の方は多いけど、野木亜紀子さんはこんなテーマを題材にするだけあって、SNSの使い方もものすごく上手い。彼女のTwitterはすごく面白いんですよ。自分が携わったドラマのこともいろいろ語っていて、私のドラマはこう見てほしいとか、こういうこと言ったらネットで叩かれるのもわかってるけどこう書きますよ、なんて、かなりぶっちゃけているけど、そのぶっちゃけ方がまたうまい。
この間、雑誌の対談で「私は“バズったもの勝ち”というとおかしいかもしれませんが、バズる分にはいいかなと思ってます」「(よくないバズり方をしても)結果としてそれで話題になって、途中からでも見ようかなと思ってくれる人が増えたらいいなと」(KADOKAWA刊「週刊ザテレビジョン」)と語ってましたが、やっぱり頭がすごくいいから、ネットで叩いてくる人たちともうまい距離感で向き合えるんでしょうね。
非公開: 北川悦吏子『半分、青い。』のツイッター大暴れは意図的なものだった? その理由は……
本日(9月29日)、北川悦吏子脚本のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』がいよいよ最終回を迎える。ほとんどの週で平均視聴率20%超えをキープ。…
それと対照的なのが、『半分、青い。』(NHK総合)の北川悦吏子さん。『半分、青い。』放送当時は、北川さんが頻繁に「神回!」と自画自賛ツイートするのがネットで叩かれまくりでした(笑)。
いやでも、アレでいいんですよ。やっぱりもう、彼女は天才なんです。“モノをつくる人は壊れてると思われるくらいじゃないといけない”という例の典型だと、僕は思いますね。自分の書いた脚本を毎回毎回「神回」と自画自賛し続けるなんて、普通の脚本家だったらまずやらないでしょう?(笑) もう十分、功成り名遂げた存在なわけじゃないですか、北川悦吏子さんって。そんな人が、あんなに叩かれることはわかっているのに、わざわざ自分をさらけ出しちゃうという。そこに、一般の人々も強烈に惹きつけられるんでしょうね。
「炎症性腸疾患」だとか「聴神経腫瘍」だとか、ご自分の病気のこともTwitterで語っておいででしたけど、脚本家が病気だったとかこの回がオススメだとかって、ただ純粋に作品を楽しみたい人にとってはノイズでしかない。でもそれをあえてさらしていく姿勢。というかもう彼女の中ではそれはさらさざるを得ないことで、そしてたたかれて、さらに人の注目を集めていく。そういうところも含めて、彼女の才能なんだと僕は思います。
「北川悦吏子先生、お控えください……」とNHKが懇願したとのうわさ
でも北川さんの場合、ネットでたたかれ始めると自分のツイートについてあわてて弁解したりしてジタバタするのが、野木さんとは対照的なところ。でもそのジタバタぶりも含め、“天才・北川悦吏子”なんじゃないですかね。だって、やっぱり面白いですもん、作品が。
最近では、ドラマをつくる際に、局や制作側、脚本家、役者みんなでSNSで盛り上げていこうという風潮が多いんですが、『半分、青い。』のときには、逆に、NHKのほうから北川さんに対して「発言をもうちょっと控えてもらえませんでしょうか……」的なことをやんわり伝えたなんて話も聞こえてきましたよ。でも、そんなの聞く人じゃないからね(笑)。
でもですね、これが一番大事なことなんだけど、結局、作品そのものがよくない場合は、つくり手の側がどんなに騒ごうがあおろうが、絶対にブレイクしないんですよ。逆に、どんなにたたかれようがけなされようが、面白いものは絶対にヒットする。だから、「いい作品なのにあまり見られていない」っていうような作品を、たたかれてでも注目させようとするのは、特にこの時代においてはすごく大事なことだと思いますね。
まさに、野木さん言うところの、“バズったもの勝ち”ですね。
そういう意味では、テキトーな記事も多いウェブメディアだって、ニュースとして取り上げてくれるだけでありがたい存在なのかもしれないですね。テキトーだとかアヤシイだとか、ディスってばかりですみません。ウェブメディアのみなさま、これからもお付き合いのほど、なにとぞよろしくお願いします!
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