ジェンダーレス明確に示す『プリキュア』『セーラームーン』、反発の動きも目立つ

【この記事のキーワード】

 しかしその一方で、日本の化粧品売り場やメイクショップについて、<男の人が入れないわけじゃないのに、なんで女の人の写真ばっかりなんだろう?って不思議に思うんです。男の人でメイクする人もいるのに、って。だから、まだそこまではいってないんです>とも。

 メイク好きのりゅうちぇるは、2016年に出演したバラエティ番組のドッキリ企画で、「化粧してる男ってありえない」「子どもが生まれてもそのままでいるつもりなの?」「男らしくない」と非難された際も、「絶対かわいいパパでいます」「人に何を言われても負けないで、自分をしっかり持つ姿を見せる」と、子どもが生まれても自分のメイクやファッションは変える気はないときっぱりと語っていた。そして宣言通り、りゅうちぇるは今年7月、妻・ぺことの間に長男・リンクくんが誕生してからも、自分の好きなメイクやファッションを貫いている。

 りゅうちぇるのメッセージは、極めてシンプルだ。自分を大切にする。家事や育児など家庭内のことは、自分たちに見合ったスタイルで行う。他人に自分のやり方を押し付けない。家族は「身内」だから雑に扱ってもいいような文化のもとで育った人も今の日本には少なくないと思うが、家族という「身内」であっても相手を尊重し大切に扱うのが、りゅうちぇるの基本スタンスだ。妻のぺこ、息子のリンクくん、どちらにも価値観を押し付けないように意識しているという。

 ただ、そんなりゅうちぇるのスタンスがスタンダードかというと、わざわざメッセージを発信してインタビュー記事になるほど“特別”なことで、まだスタンダードとは言えないというのが実情だと思う。この社会には「男らしさ」「女らしさ」という呪縛が残っており、それを当たり前の前提として構築されたシステムがたくさんある。

 また、Yahoo!ニュースに転載された上記のりゅうちぇるのインタビュー記事には800件近くのコメント(いわゆるヤフコメ)が寄せられているが、りゅうちぇるを非難する内容が意外にも多い。「男がセーラー戦士のコスプレなんて気持ち悪い」というコメントをはじめ、「りゅうちぇるこそが他人に価値観を押し付けているのでは」という論調のコメントが多い。どういうことか。たとえばこうだ。

 <そういうのが好きな人は勝手にやればいいと思います。ただそれを認めて!とか言うのはまた別問題>

 <好きな人は好きだしで良くないですか?いちいち認めて下さい!みたいなのは要らないと思いますが…それに人それぞれと言うならそれを見て嫌がる人がいても、それも人それぞれの意見だから差別とか言わないで欲しい。自由を望むなら他人の自由の考えも認めるべきですよね、そういう方はその覚悟で言ってると思っていいんですよね…>

 <何でもかんでも公言すれば、良いというものではありませんし、公言するからには、賛成意見や反対意見があるのは当然です。 何かに過度に反応すれば、過度な反応が返ってくるのは当然です。本当に自分の意見や趣味、感性を大切にしたいなら、自分の中で大切にしてていただいて、 “自分の意見は正しい”“わかって”といったスタンスでガツガツ話さないでもらいたいです>

 <好きなことは好き!って自分自身で大切にしていけばいいと思います。自分が本当に好きで、大切にしているものって別に認めてもらおうとは思わないし、わざわざひけらかそうとも思わない。 結局は認めて認めて!って承認意欲が強すぎるから、最近のりゅうちぇるを見ていても、好きな事だけやっててもダメなんだなぁ。と思うようになりました>

 <男女らしさもジェンダーレスも、どちらの考え方にも一長一短はあり、どちらだけが正しいというものではない。にもかかわらず、最近のLGBTの押し付けにも似た正当性主張には逆の意味での差別感を感じる。男女らしさを大切に思ってはいけないの?>

 <この人は自分の意見を押し付けてくる。差別は良くないとは思うけど、人それぞれ考えがある。自分が正論だと思うのはいいが、自分の中だけにしてください>

 <ただの認めるの押し付けだろ。トランスもゲイもバイも普通の人は認める、認めない以前にそういう感覚で接してないと思うが 好きなら好きでいいじゃんってだけ。当人の被害者意識が強すぎて認める、認めないに拘り過ぎてるだけな感じがする。認めてないのは大抵当人の親だけだろ>

 <好きなら勝手にすればいい。ただ、私がそういう人を見て不快に思うことも感じてほしいし、私にそれを嫌いだという自由があることも分かってもらいたい。こういうCMで見かけたものはその企業の他の製品サービス含めて多分買わない>

 <りゅうちぇるの「個性を認めてくれない、受け入れてくれない、そんな世の中おかしいし、古い」ていう考えの押しつけこそが古くておかしいんじゃないかなー>

 <勝手にやってればいいだろ そういう概念を一般に押し付けんな>

 インタビュー記事の中でりゅうちぇるは、CMコンセプトが自分にとって共感できるものであったこと、自分と妻は家事・育児の分担を『男性』『女性』『父親』『母親』ではなく『ぺこりんとりゅうちぇる』として決めていることなど、自分の価値観や考えを語っているだけであり、「認めて」と訴えているようにも、押し付けているようにも見えなかった。しかし、「認めて」欲しがっているどころか、他人に自分の価値観や考えを押し付けているように捉えるユーザーも多かったようだ。

 また、昔だって少女漫画や女児向けアニメを好きな男の子はいたし、少年漫画や男児向けアニメが好きな女の子もいた、といった論調のコメントも見受けられた。

 実は12月2日放送の『はぐプリ』で男の子のプリキュアが誕生したことを伝えるYahoo!ニュース内の記事にも<ウチに関してですが子供達は、プリキュアが女の子男の子という事を気にして見てなかったです>といったコメントが少なからず出ている。こういったコメントにせよ、先に紹介した「認めて認めてと押し付けないで」と非難するコメントからは、「自分たちは差別も偏見もないのに、マイノリティの人たちは被害妄想を抱いて、権利ばかり主張してきてうんざり」という空気が漂っていることを感じる。

 LGBT当事者などマイノリティの立場にいる人たちや、彼らの立場に立つメディアは、マイノリティを取り巻く現状を説明し、誤解や偏見を解こうと情報を発信するが、その発信を「自分の権利ばかり主張してきてうるさい」と捉える人もいる。というか、広く発信されて目立つようになったからこそ、「うるさい」と捉えるユーザーも増えているという感じだろうか。

1 2 3 4

「ジェンダーレス明確に示す『プリキュア』『セーラームーン』、反発の動きも目立つ」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。