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今、話題のビジネスモデルに、AirbnbやUberに代表される「シェアリング」がある。まさにインターネットの申し子のようなビジネスモデルだ。だが、シェアリングという言葉はともかく、シェアリングというビジネスモデル自体は日本でも古くからなじみがあるものだ。
たとえば、Airbnbの「民泊」に対して、日本では「下宿」や「民宿」というビジネスモデルがすでに存在している。「下宿」は主に大学生を対象に年単位で貸し、「民宿」は主に観光客を対象に数日単位で貸すという違いはあるが、基本的にはどちらも「民泊」だ。なお、いずれも旅館業法の適用を受ける。
一方、旅館やホテルはどうであろう。こちらは「個人の空いている部屋を貸す」という意味での「シェアリング」ではない。専門の業者が、客を宿泊させるための専用施設を作り、必要な人に必要な期間だけ部屋を貸し出しているからだ。これも広い意味ではシェアリングといえる。なぜなら、同じ部屋を複数の人がシェアしているからだ。
「民泊」のように、いわば素人が空いている物件を貸すのを「素人シェアリング」と命名するとすれば、専門業者が専門施設を貸し出すのは「玄人シェアリング」と区別できよう。
なお、「下宿」や「民宿」とAirbnbのビジネスモデルには違いがある。「下宿」や「民宿」といった場合、実際に「宿」を提供する貸し手を指す。ところが、Airbnbのビジネスモデルは「宿」を提供する人と「宿」を借りたい人を結びつける、いわば仲介業だ。
レンタカーとカーシェアリング…言葉を開発する
シェアリング・ビジネスモデルの1つにカーシェアリングがある。あのトヨタですらカーシェアリングに本腰を入れる報道もあるように、最近にわかに注目が集まっている。
カーシェアリングは、個人が所有する車を空いている時間に他人に貸すという「素人シェアリング」ではなく、旅館やホテルと同様、専用の車を事業者が用意して、それを顧客が借りるという「玄人シェアリング」である。よく考えると、実はこのビジネスモデルもすでに存在していたことに気づく。そう、レンタカーというビジネスモデルだ。レンタカーとカーシェアリングは、いったい何が違うのであろうか。
答えは「どちらも同じ」である。専用の車を事業者が用意して、顧客が車を借りて使うという意味で、両者に違いはない。では、なぜ、レンタカーとカーシェアリングを使い分けるのだろうか。