なぜ中高年は、『ボヘミアン・ラプソディ』のラストシーンで涙するのか

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『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイトより

「勝ちに不思議の勝ちあり」は本当か?

 映画『ボヘミアン・ラプソディ』が大ヒットしている。映画のヒットは、ラッキーパンチか? 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」。江戸時代の大名である松浦静山の言葉だが、元プロ野球監督の野村克也氏の名言としても知られている。

 この名言の真意は、「勝利にはラッキーがつきものだが、敗北には原因がある。そこを教訓として学びなさい」ということだろう。勝負師の言葉の重さには唸るしかないが、勝利にはラッキーだけではない、勝因も必ずある。そこを見過ごせば本質を見逃してしまう。最新例として映画『ボヘミアン・ラプソディ』のヒットを掘り下げてみよう。

クイーンと『ボヘミアン・ラプソディ』の共通点

 まだ観ていない諸氏にネタバレにならない程度に紹介すると、これは1970年代から1980年代に活躍したイギリスの伝説的バンドQueen(クイーン)の半生記映画だ。“伝説的”といわれる由縁は、日本を含め世界的に大ヒット曲を連発したこともあるが、4人組の中心的存在であるボーカル、フレディ・マーキュリーのカリスマ性にある。同性愛者として知られる彼が、エイズにより45歳の若さで急逝してしまったこともカリスマ性を際立たせている。

 映画タイトルの『ボヘミアン・ラプソディ』は、6分におよぶクイーンの代表的長編曲のタイトルから来ている。

 その「クイーン」というバンド、そして『ボヘミアン・ラプソディ』という映画には共通点がある。

 両者ともに、世に出る前の“評論”は散々だったが、世に出た後の“評判”は上々という点だ。つまり、予想を覆したということだ。

 実際、映画封切り前はプロ評論家たちからの酷評を受けながらも、公開後はSNSが評判で持ち切りとなり、興行収入を伸ばし続けている。鑑賞後の感想として、「クライマックスで感涙した」という投稿も相次いでいる。

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