ZOZO前澤社長「納税します」発言からの大論争、富裕層への課税議論で致命的に欠けている視点

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富を生み出す健全な競争社会が必要

 日本経済が低成長なのは、日本企業の競争力が低下しているからだ。そこにはさまざまな理由があるが、もっとも大きいのは、日本の労働市場が硬直化しており、人材の流動性が低く、適材適所の配置ができていないことである。

 日本では終身雇用が大前提となっており、最初に入った会社に一生勤務するという人が多いのだが、考えてもみてほしい。同じメンバーが40年も顔を合わせて毎日、仕事をしていれば、どんなに優秀な人たちでもマンネリ化するのは当然のことである。最近では少し状況も変わってきたが、日本の企業は転職した人をあまり優遇しないので、転職は活発にならない。

 こうした硬直化した人事制度を続けていると、時代の変化に組織が対応できなくなる。リクルートワークス研究所によると、社内で仕事が見つけられない、いわゆる社内失業者の数はすでに400万人を突破しており、2025年には500万人近くに拡大するという。何も仕事をせず、給料だけは満額もらっているサラリーマンが全体の1割以上を占めている現実を考えると、企業の競争力が低下するのも当然だし、企業が総人件費の増大を恐れて、賃金を抑制してしまうのも無理はない。

 新卒で会社に入ってしまえば、一生面倒を見てくれる職場は確かに居心地がよいかもしれない。だが、こうした環境に皆が慣れきってしまえば、結局、社会の貧困化を招く。

 会社にしがみついていれば生活は保障されるが、ひとたびそこからはじき出されると生存が脅かされる社会と、ひとつの職場に一生いられる保証はないが、会社を辞めてもすぐに次の職場が見つかり、仮に失業が長期化してもセーフティネットが救ってくれる社会とを比較した場合、どちらが健全だろうか。筆者は明らかに後者だと考える。

 多くの国民がもう少し前向きにキャリアを形成することができれば、そして日本人が本当に先進国としての民度を持っているならば、貧困率を今の半分以下にし、大学までの学費を完全無償化することなど、それほど難しいことではない。求められているのは、少ない富を奪い合う論争ではなく、富を生み出す健全な競争社会を受け入れる覚悟である。

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