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ソフトバンク大規模通信障害が与えた影響 インフラとしての重要性痛感せざるを得ない

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Thinkstock/Photo by ViewApart

 12月6日午後1時39分頃より発生したソフトバンクの大規模な通信障害は、大きな混乱を招いた。電話がつながらない、インターネットにもつながらないという状態が4時間以上に渡って続き、通信障害は同日午後6時過ぎに復旧を遂げた。

 突然の「圏外」状態に、混乱は急速に拡大。ソフトバンクショップには、大勢のソフトバンクユーザーたちが詰めかけた。スマートフォンや携帯電話が故障したと思い、ショップに出向いた人もいたという。情報を遮断されると、そもそも何が起きているのかわからなくなる、ということだ。復旧の目処が立たないことで、クレームの怒号が飛び交ったショップもあったという。また、コールセンターにも苦情が殺到していたようだ。

 仕事相手や待ち合わせ相手と連絡が取れない、交通手段が調べられない、住所が調べられない、地図が見られない……という事態に、街中では多くの人が途方に暮れ、公衆電話には行列ができ、カフェなどのWi-Fiスポットも混雑したという。ソフトバンクユーザーのみならず、ソフトバンクユーザーと急に連絡が取れなくなった人も困り果てただろう。携帯電話やスマートフォンは今や生活に欠かせない「インフラ」であり、通信障害が起これば、仕事や日常生活に支障をきたすことがまざまざと見せ付けられた。

 6日のソフトバンク通信障害では、スイカチャージやQRコードのPayPayも使えなくなったほか、アーティストの公演にも影響が及んだ。近年チケットの高額転売対策としてデジタルチケットを導入されているケースもあるが、通信障害が起きればデジタルチケットのページが開けなくなってしまう。

 そのため、6日に香川・レクザムホールで公演を控えていたSEKAI NO OWARIは、公式Twitterでソフトバンクユーザーに向けて<本日「Fafrotskies」香川公演へご来場されるSoftbankユーザーの皆さまは、ご来場前にネット環境が繋がる場所で、予めデジタルチケットやS.N.O.W.Sマイページをスクリーンショットしたうえでお越しください>と呼びかけた。同じく6日、名古屋・Zepp Nagoyaで公演を控えていたGLAYも公式Twitterで<本日はご来場の皆さんのQRコード確認は行わず入場を行います。チケットのみでご入場できますので、必ずチケットをお忘れなくお持ち下さい>と呼びかけた。

 また、佐川急便でも、宅配ドライバーの携帯電話がつながらなくなり連絡が取れない、荷物の集荷依頼、再配達以来などの情報もドライバーに届かなくなり、業務に支障をきたしたという。

 東京消防庁は、公式Twitterで<現在、ソフトバンク回線の一部で、119番通報がかかりづらい状況となっております。火災や救急等の緊急時は他社の固定電話または携帯電話から119番通報をするか、お近くの消防署に直接通報してください>と呼びかけた。固定電話を持たず、携帯電話1台しか所有していないという人も少なくない現代、その携帯電話が通信障害によってつながらなくなってしまったら、火災や事故、突然の体調不良の際、119番で助けを求めることすらままならなくなるのだ。妊婦の陣痛が始まってもタクシーだって呼べない。

 ソフトバンクは6日の通信障害について、<全国をカバーするエリクソン社製の交換機のソフトウエアに異常が発生したことによるもの>と発表。<同ソフトウエアは9カ月前から運用しており、同ソフトウエアによる異常は、エリクソン社製の通信設備を使用する海外(11カ国)の通信事業者においても、ほぼ同じ時刻に同様に発生していると、エリクソン社から報告を受けています。ソフトウエアを旧バージョンに戻すことで、復旧を行いました>と説明している。通信障害が起こったのは、日本だけではなかったのだ。

 エリクソン社も、6日の通信障害の原因が同社のソフトウェアにあったと発表し、謝罪している。認証期限が切れたソフトウェアがインストールされていたため、不具合が起こったとのことだが、根本的な原因については、まだ調査段階だという。

 およそ4時間半とはいえ、今回の通信障害がもたらした損害は決して小さいものではなかった。もしこれが冠婚葬祭や受験などの「大切な日」に起こったら、大地震などの災害時に起こったら、と想像し、空恐ろしさを覚えた人もいるだろう。その危機感を自覚し対策を検討する学びの機会でもあった。

 しかしおりしも、ソフトバンクは東京証券取引所への上場を控えての異常事態。新規株式公開(IPO)直前の大失態に、陰謀論までわく始末だ。ただ逆に、インフラとしてそれほどまでに重要かつ必要とされる事業であることの証明と見ることもできなくはない。ともあれソフトバンクやエリクソン社は、調査によって原因を究明するだけでなく、対策を検討し、また顧客の損害回復にも着手する必要があるだろう。

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