妻のためにナプキンを作る男性を描いた映画『パッドマン』を見て、妻のために布ナプキンを洗う男性が限りなくモヤモヤした理由

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SuzukiDaisuke01

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※本記事はネタバレを含むため、ご注意下さい。なおレビューはあくまで「映画の評価」であって、モデルとなったムルガナンダム氏への評価では「一切ない」ことを、強調しておきたく思います。

 妻が茶の間でつけっぱなしにしているムービープラス(映画専門CSチャンネル)から本作『パッドマン 5億人の女性を救った男』の試写会情報が流れるのを見て、思わず目が釘付けになった。

 制作国は、凄惨な集団強姦事件やガオコル(月経期間の女性を隔離された小屋に閉じ込める慣習)など女性の人権問題が取りざたされることの多いインド。そんなインドで、高価な既製品の生理用ナプキンを購入できない愛妻のために、自作でナプキンを作ることに挑戦した男の物語だという。

 これは、「日本中の男は妻の布ナプキンを毎月手洗いしたほうがいい」というちょっぴりラジカルな提言を地味発信している我ら夫婦が観に行かずに誰が観に行くのか!? ということで、くじ運力が半端ではない妻に応募してもらったところ、すんなり当選。試写の機会に恵まれた。

男性が生理に興味を持つのはタブー?

 事情にさほど明るくなくとも、「インドで男性が愛妻のために生理用ナプキンを自作する」という時点で、悪戦苦闘の物語であることは容易に想像できる。けれど、ヤバいこれ絶対号泣するアレやと覚悟しつつ妻と試写室に向かうも、2時間17分の物語に、最後まで号泣することはなかった。全編に渡ってちょいちょい目頭が熱くなるシーンはあったものの、終盤ではむしろ、冷めきった気分になっていた。

 限りなくモヤモヤした気分が、胃の上の方にモッタリと残った。

 物語のあらすじは、書いてしまえば即ネタバレになるほどストレートなもの。

 主人公ラクシュミは、インドの地方村で腕の良い溶接工として慎ましい生活を送る、妻にゾッコンの愛妻夫。そんな彼は、愛する妻が高額な既製品の生理用ナプキンを購入できず、衛生的とは言えない布で代用していることや、そうした衛生管理によって感染症を患ったり命を落とす女性も少なくない事実を知ると、持ち前のクラフトマンシップで身近な素材をかき集めて既製品の模倣=自作ナプキンを作ろうと立ち上がる!

 だがそこは迷信(信仰)厚く女性の人権後進国でもあるインド。ラクシュミの挑戦を阻むのは、妻自身からも家族からも、周囲の村人からも、男女両サイドから叩きつけられる「男が女性の月経に興味を持つことそのものへの猛烈な禁忌感情」だった。

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