「体重が正常でも不健康」な状態に注目を 「肥満=不健康」という常識は崩壊

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長期的にみれば体重は重要という研究もある 

 これまで米国でも、肥満はさまざまな疾患を引き起こす危険因子とされており、肥満度を示すBMI指数は重要な健康指標であると考えられてきた。

 減量(BMI値の低下)に成功した従業員に対して保険料を減額するプログラムを提供する企業も出てきており、こうした試みに参加しない従業員にペナルティを科す企業もある。米国雇用機会均等委員会(EEOC)は、従業員が目標達成に失敗したら、雇用者は保険料の30%までを従業員に課してもよいとする規定を提案しているというが、今回発表された新しい研究や論文によって、肥満=不健康というこれまでの常識はどんどん崩壊していくのだろうか。

 一方、体重という指標は重要であり、「肥満であるが代謝的には健康」という考え方には問題があることを示唆する研究結果もある。

 例えば、2015年に報告された100万人以上のスウェーデン人を対象に長期観察を行った研究では、肥満だが健康とされた男性は、不健康で痩せている男性よりも早死にするリスクが30%高かった。また、英国の成人2500人を20年間追跡した研究では、調査開始時に肥満だが健康とされた人の半数以上が、5年以内に高血圧や糖尿病などを発症していた。
 
 一時点だけ見れば、「肥満であるが心血管代謝的に健康」という状態はありうるが、肥満は年月の経過とともに健康を損なうリスクファクターとなるのではないかということだ。

体重が正常でも“隠れ肥満”の可能性がある

 むしろわれわれが注目すべきは、「体重が正常でも不健康」な状態のほうかもしれない。
 
 肥満の程度は通常BMIで判断されている。しかし、BMIは体脂肪率を反映しないため、BMIが低くても脂肪が多い、いわゆる「隠れ肥満」は存在する。

 なかでも、内臓脂肪が蓄積したメタボリックシンドロームは、動脈硬化を進行させやすく、脳卒中や心筋梗塞などを引きおこす可能性もある。BMIが低いからといって、油断は禁物だ。

 体重が減らなくても、運動を継続すれば体脂肪率は変化する。除脂肪体重(全重量から脂肪組織の重量を差し引いた数値)が増加すれば、その人の中で筋肉の割合が増えたことになる。筋肉は脂肪よりも重量があり基礎代謝を上げるほか、筋肉量を増やせば血糖値の上昇を抑えられることから糖尿病や心疾患リスクも低減する。

 肥満度はもはや決定的な健康のリスクファクターではない。いたずらに体重だけにこだわるのではなく、継続的な運動で体脂肪率を減らし、健康寿命を延ばすことが重要だろう。

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