1年で3割の人材が流出する介護業界 低賃金、キャリアの見通し立たず

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Thinkstock/Photo by KatarzynaBialasiewicz

 株式会社ベネッセスタイルケアは12月6日、介護業界の離職経験者1600人を対象に実施した調査結果を発表した。まず、介護業界に入社する人の割内訳を見てみると、「新卒入社」(10%)、「過業界からの中途入社(社会人未経験含む)」(59%)、「介護業界からの中途入社」(31%)となっており、新卒はわずか1割。また、他業種から介護業界に進む人が多いようだ。

 次に、入社後に「1年未満で離職する人」(31%)、「1年以上3年未満で離職する人」(30%)と、3年未満で約6割が離職している。3年もすれば同僚の6割がいなくなっているというのは、介護業界の定着率は非常に低いといえるだろう。離職者のその後の足取りを見てみると、「介護業界への転職」(45%)、「他業界転職」(35%)、「無職」(20%)となっている。

 ちなみに、「他業界転職」、「無職」を選択した人の半数以上は、「条件次第で復職しても良い」(52%)と考えいる。前職場の離職理由については、「給与の低さ」と「キャリアの見通しのなさ」を挙げる人が多かった。つまり、“介護”という仕事そのものではなく、給与が低くキャリアの見通しが立てにくい “介護業界”への不満が離職の主な原因と推測できそうだ。

 この「キャリアの見通しのなさ」の詳細については、「仕事内容が変わらず、飽きてしまった」「ロールモデルがいない」という回答が得られており、やはり介護業界の構造に問題があることが浮き彫りになる。

 この点について同調査では、<介護職は自身の成長を非常に重視する傾向が出ており、役職・等級が上がることよりも専門性を高めることや専門性を高めることやより広い視野で仕事ができるようになることを成長として捉えている>と分析しており、<介護職のキャリアを支援するための鍵は、いかにして成長を実感できるような環境を整えていけるか>と、まとめている。専門性を身に着けて成長を実感できることや、キャリアを次に活かせるような環境を整備することが必要といえるだろう。

 もちろん、「キャリアの見通しのなさ」のなかには、「給与・報酬が上がらない」も含まれる。とにかく低賃金が、働き続けるモチベーションを大きく下げてしまうことは自明だろう。介護業界は超高齢化社会のなかで急成長している分野であり、働き手の待遇についてもまだブラッシュアップされていないとも言えるが、現場を支える人材の待遇改善が急務であることは言うまでもない。

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