1年で3割の人材が流出する介護業界 低賃金、キャリアの見通し立たず

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給与だけでなく風通しの良い職場づくりも大切

 また、キャリア面や給与以外にも、職場内の人間関係も離職に大きく影響しているようだ。「職場に相談相手がいない」と答えた人は、「相談相手がいる」人と比較して、「給与の低さ」「キャリアの見通しのなさ」を指摘する回答が高く得られている。

 ちなみに、職場の人間関係にネガティブな意見としては、「仕事の考え方・進め方に納得できなかった」「自分への態度が高圧的だった」「周囲への陰口・愚痴が多かった」「サービス利用者への態度が悪かった」などが挙げられている。

 同調査では、<上司だけでなく、職場の周りの人たちが介護職としての成長を支えて、仕事ぶりを評価したり相談にのったりすることが、本人のキャリアアップを支えるとともに離職を食い止めることにもつながるのではないかと思われます。>とまとめている。これはどの職場でも同じことがいえるが、風通しの良い職場環境を作ることも必要となる。

介護業界の働き方改革、着眼点は?

 介護現場の悪しき待遇は問題視されて久しく、国も対策を練っている。今年9月に厚生労働省が発表した「介護人材の処遇改善について」では、<他の介護職員などの処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めることを前提に、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1000億円程度を投じ、処遇改善を行う。>と明言されている。一にも二にも、給与面の改善は急がれる。

 しかし、株式会社ベネッセスタイルケアの調査内でも指摘されていたように、介護の現場から聞こえてくる声はさまざまな問題を浮かび上がらせている。1年未満で30%が、1年から3年未満で31%が離職している介護現場では、段階を追いつつ多角的な働き方改革が望まれる。

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