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ドルチェ&ガッバーナは、なぜ1日で中国市場を失ったか? その背景にある、中国ネットメディアの巨大なる影響力

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ことの発端となった、ドルチェ&ガッバーナによるPR動画「Eating with Chopsticks」シリーズのいち場面。公式Instagramからは削除されているが、ネットで世界中に拡散している。

 11月、イタリアのファッションブランド「ドルチェ&ガッバーナ(以下、D&G)」が、中国の上海で行われるショーに先んじて公開した動画やその後に公開されたメッセージなどで「中国を侮辱した」とする騒動があった。これを受け、中国では出演予定だったモデルや招待されていたタレントが次々とショーをボイコット。ショーは開始数時間前にキャンセルされ、翌日には大手ECサイトや百貨店からD&Gの商品が消えた。

 これを受け、D&Gの代表であるドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが謝罪動画を公開。しかし、12月にはD&Gの謝罪撤回と中国製品の不買呼びかけがあったとのフェイクニュースも出回るなど、事態の鎮火にはまだ時間がかかりそうだ。

 今回の事件は、なぜここまで炎上したのだろうか? 日本在住の中国人の声を聴きながら、事件を振り返ってみよう。

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2018年11月23日、Twitter、Weiboなどで公開された、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナによる謝罪動画(Twitter上の当該動画より)

中国市場を狙っておいてあの発言はないのでは?

 騒動の発端となったのは、ショーに先駆けてD&Gが11月17日に公式インスタグラムで公開した「箸で食べる」というティーザー動画だった。これは、中国人女性が悪戦苦闘しながら箸を使ってピザなどのイタリア料理を食べるというもので、「中国を見下した」「人種差別だ」などの声がネット上で噴出。しかし、これ自体はそれほど問題ではなかったと、30歳の中国人女性Sさんは話す。

「たぶん多くの中国国民にとっては、『またか』という程度だと思います。というのも、D&Gは、2017年4月のローカライズキャンペーン『DG Loves China』での広告ビジュアルでも中国を侮辱したと話題になっているんです」

 東京、香港、中国で展開された同キャンペーンで、D&Gはそれぞれの地域で撮影されたビジュアルを公開。東京、香港が都市的な雰囲気だったのに対し、北京で撮影された中国のビジュアルは万里の長城や胡同など伝統的な観光地や古い街並みが背景になっており、「D&Gは北京の未開発な部分のみを誇張した」と批判の声が上がったのだ。

 Sさんは、「それより問題だったのは、ステファノ・ガッバーナのダイレクトメッセージの内容」とする。動画公開3日後のショー当日、アメリカの有名インフルエンサー「ダイエットプラダ(diet_prada)によって拡散された、D&Gの看板デザイナーであるステファノ・ガッバーナと一般ユーザーとがインスタグラムでやり取りしたダイレクトメッセージのことだ。

「『今後、国際的なインタビューを受けるときは中国がクソだと伝える』『中国なしでもうまくやっていける』『無知で汚くてくさい中国マフィア』……。ショー当日に、一流ブランドの経営層が言う言葉じゃないですよね。

 中国の人たちが怒っているのは、中国市場でお金を稼ごうとしているのに、実際には中国を尊重しているとはとても思えないような態度を取られたというところです。別にへりくだる必要はないけれど、ショー当日に言う言葉ですか? 中国なしでやっていけるなら、それでいいでしょうということで、芸能人やモデルはボイコットしたし、ECサイトは取り扱いをやめたんだと思いますよ」(同)

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ウェジー 2018.11.14

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