もともと政府寄りである日産の“お家柄”
ただし、その意味においては、日産という会社にも似たような部分がないではない。日産コンツェルン創始者で政治家の鮎川義介によって設立された「日本産業株式会社」に由来するだけあり、日産は、独立不羈をモットーとするトヨタ自動車などと比べ、もともと政府寄りの性格の強い企業です。少なくとも1990年代末、破綻寸前にゴーン容疑者がルノーから送り込まれてくるまではそうでした。1999年のルノーとの資本提携の際には、通商産業省(現・経済産業省)から強力な後押しを受けていますし、今回の事件に際しても、真っ先に川口均専務執行役員を官邸へ派遣して菅義偉官房長官に報告、陳謝しています。
そう考えると、本質的にルノーと日産の提携というのは、お互い半ば国がかりの“似た者同士”が手を組んだもの、という見方もできるわけです。2018年11月30日に開催されたG20=主要20カ国・地域首脳会議において、フランスのマクロン大統領が3社連合について「安定した関係を維持していくことが重要だ」と述べたのに対し、安倍晋三首相は「3社連合のあり方は政府が関与するものではない」との考えを示しています。両政府の認識の隔たりが、この“似た者同士の握手”にどんな影響を及ぼすのか、今後の推移を注視したいと思います。
次回は、フランスをはじめ海外から「死刑執行施設のある地獄だ」「取り調べに弁護士の立ち会いを認めないのは人権侵害だ」などといった批判の殺到している、東京拘置所でのゴーン容疑者の処遇について考察します。
1 2