メルカリの姉妹サービス、即終了相次ぐ…これは“迷走”ではなく“妥当”なのか?

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 しかし、メルカリのIDを持っているからといって、そのユーザーが姉妹サービスを必ずしも使う理由はありません。もっといえば、ユーザーはメルカリに対して強い思い入れがあるわけでもなく、今の自分にとって一番使いやすいサービスだから利用しているに過ぎないでしょう。そのような状況下で他のサービスを付帯的に展開しても、それが本当に理にかなっているのかどうかという問題があります。

 例えば『メルカリ メゾンズ』は、偽ブランド品の取り締まりを強化していましたが、普段メルカリを使っているユーザーからすればもっと気軽に出品し、もっと気軽に落札したかったはず。極端な話、ユーザーはブランド品だからといって、大切に扱いたいというわけではなかったのではないでしょうか。ブランド品をアプリで売買できるという機能はメルカリのユーザーと好相性のように見えても、お金の動きという意味においては、恐らくマッチしていなかったのです」(西田氏)

 しかし西田氏は、「メルカリグループは迷走しているわけではない」と見解を寄せる。

 「明らかに利益を生まないとわかっているサービスを残し続けたり、本来の事業と全く関係がないビジネスを始めたりしているなら、それは迷走といえるかもしれません。しかし、投下した資本に対して得られる利益が非常に少ない状態のときにサービスを中止するというのは、いたって正当な判断でしょう。

 サービスにとって最も重要なのは、ユーザーが不利益を被らないかどうかということです。一定数のユーザーが継続的に利用しているサービスを終わらせるのは、それだけでリスキーですが、メルカリグループの『teacha』はわずか4カ月で終了しました。これはすなわち、『teacha』には継続的なユーザーがほとんどいなかったか、サービスの終了によってユーザーに与える影響が少ないと判断したと予想できます。

 自分がユーザー視点に立ってみればわかることですが、便利に使い始めたサービスが長く利用し続け、依存した末に終わるのと、まだ始めたばかりの時期に終わるのとでは、どちらのダメージが大きいか、という話です。サービスというものは、継続するほどユーザーに対する責任が生じていきますので、見切りをつけるのであれば、早いほうがいいのです。

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決済事業サービス「メルペイ」公式サイトより。メルカリ経済圏を作り出せるか。

 もちろん、メルカリグループくらいの資本があるなら、たった数カ月でサービスをやめるのは判断が早すぎるという見方もできるでしょう。ただ、US版メルカリや、スマホのペイメントサービス『メルペイ』など、長い時間をかけないと結果が出にくい海外展開に関しては、たとえ赤字であろうと彼らは投資を続けているわけです。そういう観点から見れば、彼らの取り組みは首尾一貫しているのではないでしょうか」(同)

メルカリがネットサービス企業として生き残るためには、フリマ以外の軸も必要

 続いて、冒頭で取り上げた「メルチャリ」に関しても伺った。こちらは、サービスとして長続きする見込みはあるのだろうか。

 「メルチャリのような自転車のシェアリングサービスは、中国やアメリカではすでに大きなビジネスになりつつあるものの、日本の法制度や社会的な仕組みのなかで成功できるかどうかは別問題です。メルカリのユーザー層とは親和性が高そうなのですが、自転車をどうやって回収・再配置するか、駐輪場をどうやって確保するかなど、インフラ面ではたくさんの課題があります。また、大都市圏と田舎では、実施の難易度も異なってくるでしょう。

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