メルカリの姉妹サービス、即終了相次ぐ…これは“迷走”ではなく“妥当”なのか?

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 とはいえ、それはメルチャリに限った話ではありません。日本では以前から、NTTドコモが『ドコモ・バイクシェア』として自転車のシェアリングサービスを提供していますが、今年の3月期の決算では営業損失が6億円以上と、ハッキリ言って大赤字。利用者がまだ少ないというのもありますが、日本では自転車を勝手に放置することもできませんし、やはり管理コストがかさんでしまうということですね。

 しかも、このような薄利のサービスは大都市圏でないと収益を上げにくいのに、大都市圏であればあるほど自転車の管理が難しくなるというのが現実です。それは当然メルカリもわかっていますし、だからこそ今は、福岡市と国立市でしかテストしていないのです。

 どういうシステムにすれば社会との軋轢を生まずにサービスを展開できるかはまだ検証中の段階ですが、上手く回せるようになればビジネスのパイとしては有用だろうということで、メルチャリはいまだに続けているのでしょう」(同)

 先述した3つのサービスのように、潔く切り捨てられたものもあれば、メルチャリのように、ビジネス化を目指して粘り強く準備が進められているものもある。失敗を恐れずにトライ&エラーを繰り返す積極性こそが、メルカリグループの持ち味だということか。

 「社風としては、そうだと言えるのではないでしょうか。もっとも、メルカリのような一般消費者向けのサービスは、同じことをしているだけでは飽きられてしまいがちですし、利用率も下がってしまいます。企業として成長していくためには複数のサービスを打ち出し、それぞれが同時に収益を生めるビジネスモデルにしないといけません。

 一例として、ヤフー株式会社は昔、インターネット広告だけを取り扱っていたのですが、有料サービスの『Yahoo!オークション(現ヤフオク!)』を始めたことによって、ビジネスを安定化させました。また、株式会社ミクシィも、SNSの分野で伸びていた頃はよかったのですが、一度は凋落し、現在はスマホゲーム事業のおかげで復活できたようなもの。ネットサービスにおいては、事業の柱が1本だけではダメだという先例です。

 現在は飛ぶ鳥を落とす勢いで人気のメルカリも、より満足度の高いフリーマーケットアプリが他社から登場すれば、半年もあれば乗り換えられてしまうでしょう。その点は彼らにも読めないことですので、多くのお金が集まってきてくれる今のうちに、企業としての地盤を固めておかなければなりません。つまり、複数の事業に手を出すこと自体は、メルカリのようなネットサービス企業にとっては基本中の基本。どちらかといえば、どのようなサービスを仕掛けてくるかという部分に、メルカリの企業風土が見えてきそうです」(同)

 12月17日には本やCD、ゲームの取引を専門とした「メルカリ カウル」が終了することもアナウンスされているが、こちらは同様の機能をメルカリに集約するという形で対応している。大成功を収めたフリーマーケットアプリとは別に、別サービスを新しい軸として確立できるのか、メルカリグループの生き残りをかけた試行錯誤は、これからも続いていきそうだ。

(文=森井隆二郎[A4studio])

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西田宗千佳 フリージャーナリスト
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。主な著書に「ポケモンGOは終わらない」(朝日新聞出版)、「ソニー復興の劇薬」(KADOKAWA)、「ネットフリックスの時代」(講談社現代新書)、「iPad VS. キンドル 日本を巻き込む電子書籍戦争の舞台裏」(エンターブレイン)など。Twitter https:/twitter.com/akiakatsuki

 

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