社会

『報道ステーション』報道番組としての矜持はどこへ? 入管法強行採決の扱いに疑問

【この記事のキーワード】

 国のあり方を根幹から変える重要法案なのにも関わらず、与党は議論の叩き台にもならないような杜撰な法案をつくり、そのうえまともな対話にも応じようとせず強引に可決させようとした。それは多くの国民が見届けるべき異常事態であり、そのためにメディアはきちんと報じるべきだったのだが、この日の『報道ステーション』がその責をまっとうしたとは言い難い。

『報道ステーション』リニューアルで番組としての姿勢は変わった

 ご承知の通り、『報道ステーション』は、テレビ朝日系列の看板ニュース番組だが、今年に入ってから大幅なリニューアルをしている。

 7月にはチーフプロデューサーが交替し、10月には出演者も大きく入れ変わった。

 2011年からサブキャスターを務めてきた小川彩佳アナウンサーが番組を去り(現在はAbemaTVのニュース番組『Abema Prime』を担当)、月曜から木曜まで富川悠太アナとフリーアナウンサーの徳永有美氏が、また金曜日は、竹内由恵アナと小木逸平アナがキャスターを務めている。

 この一連の人事は放送内容も変化させた。

 これまでの『報道ステーション』は、他のニュース番組と違って忖度がほとんどなく、森友・加計問題、自衛隊日報隠ぺい問題など、政権の問題点を厳しく糾弾してきた番組である。

 しかし、チーフプロデューサーの交替人事があった7月ごろから放送内容に変化が見受けられるようになる。政権批判につながるようなテーマのニュースを以前ほど鋭く扱わなくなったのだ。

 たとえば、杉田水脈衆議院議員の「生産性」発言や赤坂自民亭の話題にも、しっかりとした追及姿勢を見せなかった。

 こういった変化の内実が「週刊文春」(文藝春秋)2018年8月30日号で明かされているのだが、それは唖然とするより他ないものだった。

 前述した新チーフプロデューサーへの交替人事は、“テレ朝のドン”こと早河洋会長からの<クール(三カ月)の平均視聴率を11%に上げろ>という命を受けてのものであったという。

 ここ最近の『報道ステーション』の視聴率は、13%前後だった古舘伊知郎(2016年3月いっぱいで降板)時代から下降し、10%を下回ることも多い。

 そこで新チーフプロデューサーがもち出してきたのが、権力にもの申す硬派な報道番組から、ワイドショー的な形態にかたちを変えていくことだった。7月12日の放送終了後にスタッフを集めて行った今後の方針発表には、驚きの声があがったと「週刊文春」は報じている。

<(いまの報ステの)イメージは偏差値七十くらい。東大は入れるんじゃないかという感じ。偏差値五十の庶民が見た時に理解できないからチャンネルを変えちゃおうとなっちゃってる>

1 2 3

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。