『報道ステーション』報道番組としての矜持はどこへ? 入管法強行採決の扱いに疑問

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 「週刊文春」の取材に応えた『報道ステーション』スタッフは<視聴者を偏差値で測ること自体、バカにしている。いろんな関心や境遇を持つ人に今起こっていることを幅広く伝えるのが、報道番組としての報ステの役割>と、新チーフプロデューサーの語った所信表明に疑問を訴えるが、この方針転換の結果、原発問題などを取り上げた仕事で業績を残してきた古株のスタッフが<得意な(社会問題などの)分野はあまり取り上げなくなるから契約更新が難しい>として職を奪われたとも報じている。

 小川アナの人事もこういった方針の延長線上にあると思われる。

『報道ステーション』が小川彩佳アナを外した理由

 というのも、小川アナは、政権はもちろん、テレビ朝日上層部への批判すら臆せず発信する気骨あるキャスターだったからだ。

 たとえば、財務省の福田淳一前事務次官によるテレビ朝日女性社員へのセクハラ問題を扱った2018年4月27日放送『報道ステーション』では、被害に遭った女性社員からの<ハラスメント被害が繰り返されたり、被害を訴えることに高い壁がある社会ではあってほしくないと思います。すべての人の尊厳が守られ、働きやすい社会になることを祈っています>というコメントを代読した後、小川アナ自身も自らの言葉でカメラに向かってこのように語りかけた。

<私も今回の問題を受けて、まわりの女性、男性、色々な人と話をしましたが、想像以上に、その高い壁を感じている人が多いということを知りました。今回の女性社員の訴えからのこの流れを、決して一過性のものにするのではなく、本当の意味で体制や意識が大きく変わる転換点にしていかなければならないと、そして、なっていってほしいと、いち女性としても、テレビ朝日の社員としても、強い思いを込めてこれからもお伝えして参ります>

 小川アナの強い姿勢は、安倍政権にも向けられてきた。ゲストとして安倍首相が出演した2017年9月25日放送回では、安倍政権が北朝鮮に対して行っている圧力一辺倒の対応は、逆に戦争につながる危険性を高めているのではないかと指摘した。

<国連の演説を聞いていましても、対話よりも圧力ですとか、トランプ大統領と歩調も口調も一つにするような言葉が相次ぎましたけれども、そうした言葉を聞いていますと、逆に危機を煽ってしまうのではないか、危機を招いてしまうのではないかという不安を覚える方も多いと思うんですけれども>

 早河会長は安倍首相と頻繁に会食を繰り返していることから、政権にべったりの人物とされており、チーフプロデューサー人事などの背景には、より権力側に忖度した番組づくりにするような意向があるのではないかとも噂されてきた。

 日本の憲政史上稀に見る与党の暴挙をしっかりと視聴者に届けようとしなかった『報道ステーション』の姿勢を見ると、その噂にも信憑性があるように思えてならないのである。

(倉野尾 実)

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