自民党議員が「最低賃金の職場なんてフェイクニュース」と暴言 来年4月以降、日本の賃金はどう変わるか

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 12月8日の参院本会議で、外国人労働者の受け入れ拡大を目的とする「出入国管理法(入管法)」の改正が成立した。来年4月に施行される。しかし、急ピッチで進められた採決には異論の声も噴出しており、いまだ賛否を呼んでいる。

 12月1日の『朝まで生テレビ』(テレビ朝日系)でも、同法案について議論が展開された。小西美術工藝社社長で三田証券株式会社社外取締役もつとめるデービッド・アトキンソン氏がパネリストとして登場したが、日本は外国人労働者に頼るのではなく、企業の働き方を見直す必要があると主張していた。

 デービッド氏は、視聴者からの「日本にニートと呼ばれる人々が72万にいると言われているが、今足りていない人手が58万人ほどなので、ニートの人が仕事を始められるようにすれば外国人に頼る必要はないのでは?」という指摘に同意し、さらに次のように持論を展開していた

 「十分に使われていない人がいっぱいいるんです。今までの考え方っていうのは、安く無駄に多く人を使うという仕組みでやってきたので、この無駄を省いて女性をフル活用して活躍してもらうような形にする。上の世代も復活してもらって、どんどん仕事をしてもらう」

 デービッド氏は、現状働いていない人が就労すれば、外国からの労働力に頼る必要はないと説明する。高度な技能を持った一部の外国人を迎えることは歓迎すると前置きしたうえで、「単純労働者を安易に入れるということは、せっかく今から日本人の低賃金の制度を変えようとしているのに、それ(低賃金)を存続させようとする人がいる」と指摘。現在、日本の働き方を見直そうとする“働き方改革”の機運が高まっているのに、単純労働者を増やしてしまうことで待遇改善がストップしてしまう可能性を危惧した。

 さらにデービッド氏は諸外国の成功例を挙げ、まずは強制的に賃金を引き上げることが、非就労者が労働に参加するための条件であると述べた。

入管法改正案は日本の全ての労働者に影響を与える

 デービッド・アトキンソン氏が指摘したように、単純労働者が増加することによって、市場全体の賃金上昇が阻まれることも想定されうる。11月28日に放送された『飯田浩司のOK! Cozy up!』(ニッポン放送系)では、数量政策学者の高橋洋一氏が「外国人が増えれば増える程、(賃金が)上がらなくなるということは、データとして明らかに出ています」と指摘している。

 今年10月、各都道府県で平均26円増の最低賃金の引き上げが実施されており、待遇改善のための取り組みは、わずかではあるが前進を見せていた。しかし外国人労働者の拡大によって、このムードに水を差しかねないという見立てだ。

 最低賃金の引き上げがストップしてしまうことは、日本で働く全ての労働者にとって他人事ではないだろう。もちろん、日本に働きに来てくれる外国人労働者にとっても、低賃金で働かされる恐れが出てくる。つまり、現状の日本の労働環境下で外国人労働者の受け入れを拡大することは、誰のためにもならない。

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