最低賃金以下で働いている人なんて「存在しない」?
『朝まで生テレビ』では、経済評論家の森永卓郎氏も「外国人労働者が増えると賃金が引き下がってしまう」と指摘をしていた。これに対して、自民党で外国人労働者等特別委員会の委員長を務める木村義雄氏の発言には、強烈な違和感を覚えた。
「今、低賃金で働かせようなんて考えを持っている経営者は失格です。最低賃金で働いてるところなんて、そんなありません。実際に(最低賃金が)700円台の地方でも、時給800円、900円、1000円とドンドン上がってきています。ですから、最低賃金ばっかりと言うのは“フェイクニュース”ですよ」と、木村氏はこう断言したのだ。
これは、非常に強烈なパンチラインではないだろうか。先日、失踪経験のある外国人技能実習生を対象に聞き取り調査した聴取票を野党が分析した結果、67%が最低賃金以下で働かされていたことが判明したばかりだ。さらに、外国人労働者の失踪理由を「より高い賃金を求めて」とゆがめていたことが発覚し、野党から説明が虚偽であると指摘されたばかりだ。いったい、どの口が「最低賃金ばっかりと言うのはフェイクニュース」などと言うのだろうか。
木村氏は外国人労働者等特別委員会の委員長をつとめており、机上論を言って済むような立場にはない。そのような人物から不用意な発言が飛び出したことにつけても、やはり外国人労働者の受け入れには不安が残り、賛否が噴出するのは当然のことに思われる。外国人労働者の受け入れはいったい誰のためなのか、その道筋を提示してほしい。
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