社会

水道法、漁業法、入管法…臨時国会で繰り返された安倍政権による「議論忌避」の姿勢

【この記事のキーワード】
【入稿途中】水道法、漁業法、入管法…臨時国会で繰り返された安倍政権による「議論忌避」の姿勢の画像1

写真:AP/アフロ

 12月10日、第197回臨時国会が会期末を迎えて閉会したが、この国会で改めて浮き彫りになったのは、自民党のあまりにも横暴な国会運営と、金儲けのためなら国民(特に低所得者層)の「命」ですら簡単に打ち捨ててしまえる安倍政権の冷酷さだった。

 今回の臨時国会では、この国の根幹に関わるような重要法案がいくつも出されていたが、政権与党は野党から出される反対の声に耳を貸すこともなく、強引な採決を繰り返した。

貴重な日本の「飲める水道水」が売られていく

 そのひとつが、水道法改正案である。

 この法律により水道事業に民間の会社が参入しやすくなるわけだが、巷間指摘されている通り、世界を見れば水道事業はもはや「民営化」ではなく、「民営化したものを再公営化」する動きが主流となっている。

 再公営化に踏み切った国や地域は、過去15年間で37カ国235都市にもおよんでおり、なかには、水道会社に多額の違約金を払ってまで再公営化したケースまである。

 海外ではすでに多くの失敗事例があるのにも関わらず、見通しの説明も議論も足りないまま採決ありきで話が進み、今年の7月の通常国会ではわずか8時間の審議で衆議院を通過。参議院での審議は臨時国会に持ち越しとなっていた。

 今回の臨時国会では、海外での失敗事例が多く報告されていること、水質の悪化、水道料金の値上げなどを指摘されたにも関わらず、法案を何とか通そうとする与党側から納得のいく説明はなされなかった。

 それどころか、呆然とせずにはいられない事実が次々と明かされていく。

 まず、11月29日の参議院厚生労働委員会では、安倍政権と「ウォーター・バロン(水男爵)」「水メジャー」と呼ばれる多国籍企業の関係が疑われた。

 日本の水道民営化は、所有権は公的機関に残したまま、運営業務の権利を民間に任せる「コンセッション方式」をとる。その際、運営業者は、ヴェオリア社、スエズ社などの多国籍企業になることが確実視されている。大規模な水道業のノウハウをもち、実務に耐えうる力をもっているのはそういった企業だからだ。

 前述の厚生労働委員会で、社民党の福島瑞穂氏は、内閣府民間資金等活用事業推進室に、ヴェオリア社日本法人からの出向職員が勤務している点を指摘。「この法案で最も利益を得る可能性がある水メジャーの担当者が内閣府の担当部署にいる。利害関係者がいて公平性がない」と述べた。

 採決ありきで審議が進んでいった理由の一端がここに示されているような気もするのだが、さらにこんなこともわかった。

1 2 3 4

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。