水道法、漁業法、入管法…臨時国会で繰り返された安倍政権による「議論忌避」の姿勢

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 12月3日に参議院厚生労働委員会で行われた質疑のなかで、海外で近年相次ぐ失敗例についての厚生労働省の調査は、5年前に実施した3件しかないことが明るみになったのだ。

 これでは他の国や地域がたどったのと同じ轍を踏むのは確実だが、しかし、「再調査して厚労省として責任ある形でやり直すべきだ」(立憲民主党の石橋通宏氏)と求めた野党の声に与党が耳を傾けることはなく、水道法改正案は12月4日に可決された。

 海外の事例を見る限り、日本の水道民営化事業もかなり高い確率で失敗すると思われる(前例を精査していないなら尚更である)。

 日本の水道水は世界でも珍しい「飲める水道水」だが、それが過去の話となるのもそう遠い未来ではないのかもしれない。

テレビでほとんど報じられなかった漁業法改正案

 テレビのニュースではほとんど扱われなかったが、実は、漁業においても不安の残る法案が可決されている。漁業法改正案がそれである。

 70年ぶりの大改正となる今回の漁業法改正案により、これまで地元の漁業者を優先してきた沿岸漁業の漁業権の仕組みは変わり、知事の裁量で地元外の企業にも漁業権を与えることができるようになる。

 それは、資本力のある大企業の参入により、地元の漁業者が駆逐され、大企業の寡占が起こる可能性が生じたことを意味している。

 また、地域の漁業は「地元の海を使い、守る」といった沿岸保全の機能を有しているが、参入した大企業がその責を全うするかには不安が残る。

 漁村の衰退を招く恐れのある法案に野党からは反対の声が起きたが、ここでもやはり十分な議論がなされたとはいえず、衆議院ではわずか10時間半の審議で通過。12月8日未明には参議院でも賛成多数で可決、成立した。

入管法に関する審議でわかった安倍政権にとっての「人命」の軽さ

 今回の臨時国会でもっとも紛糾し、メディアでも盛んに取り上げられたのが出入国管理法(入管法)改正案だ。

 国のあり方そのものを根底から変えるような法案だが、ここでも与党はまともな議論に応じようとしなかった。

 衆議院ではわずか17時間の審議時間で強行に採決された。参議院でも野党が徹底的に抵抗し、最終的には徹夜国会となったが、12月8日未明に可決されている。

 この法案は、外国人労働者の受け入れ分野や規模といった基本的な部分すら決まっていない生煮えのもので、もはやまともな議論の叩き台にすらならない杜撰さだった。

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