――さて、ここで同店の目玉として報じられていた、自身のアバターを作成して画面上で仮想のコーディネートができるという、「GU スタイル クリエイタースタンド」を試してみよう。
「GU スタイル クリエイタースタンド」とは、カメラ付きの大型ディスプレーで、GUの公式アプリ「GU スタイルクリエイター」と連動している。このGU スタイル クリエイタースタンド(大型ディスプレー)は店内に4台あり、客が自由に操作することが可能だ。
しかし、使い方がよくわからずに大型ディスプレーの前で四苦八苦していた筆者に、近くにいた店員が丁寧に使い方を教えてくれた。まずはディスプレーの右側にあるカメラに顔を向けて顔写真を撮影し、アバターを作成。そして、アバターにさまざまなアイテムを着せて、どのようなコーディネートになるかを試していく。気に入ったアイテムがあれば、アプリに読み込み、オンラインストアで購入することもできるというものだ。
だがしかし、である。このGU スタイル クリエイタースタンド、現時点では難点だらけであった。
まず顔写真を撮影して作成したオリジナルアバターだが、画面上に登場したそのアバターの顔は、筆者に似ても似つかない。試しにもう一度撮影してみても、驚くほど似ていないのである。店員は「まだデータの蓄積量が少ないので似てないという人が多いんです」と苦笑いしながら本音を吐露していたが、本当に全く別人の顔立ちだ。しかも、顔が似てないだけでなく、選べる髪型のタイプは3種類だけ。筆者に似た髪型はなく、3種類どの髪型にしても、しっくりこなかった。
一番納得いかなかったのが、体型は選べず固定の1種類のみというところ。コーディネートの雰囲気は高身長か低身長か、痩せているか太っているかで全く変わるのは言わずもがなだが、中肉中背の平均的な体型しかないのだ。
さらに付け加えれば、画面上でアバターに着せる服もCGで表示されているわけだが、そのCGのクオリティーが低いため、服の素材感があまりわからない。店員いわく、「今後、定期的にアップデートしていく予定ですので、顔も似るようになってきますし、髪形や体型のバリエーションも増えていくと思います」とのことだが、店員の説明も歯切れは悪い。
はっきり言って、顔も体型も異なるアバターを見せられても、“自分の分身を着せ替えている”という感覚はもちろん皆無であり、コーディネートの参考になるとはとても言い難い。今後、AIが学習してアップデートしていけば実用性も高まるかもしれないが、個人的にはこの低レベルなクオリティーで世に出してしまったのは、GUのイメージダウンにつながりかねず、失敗なのでは……と、心配にさえなった。