副業は本当に「自己実現」「キャリア形成」につながるのか

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Thinkstock/Photo by fizkes

 仕事がつらい、辞めたい。でも、安定した生活を捨てるリスクは取りたくない。そんな悩みを抱えている人は多いかもしれない。

 こうした中で注目が集まっているのが、本業以外に仕事を行うこと、つまり副業だ。2018年は「副業元年」ともいわれ、これまで以上に副業に対して関心が高まっている。

 単に収入が増加するだけではない「自己実現」「キャリア形成」といったメリットも喧伝され始めた。ネットやメディア上でも、副業を勧める魅力的な文言が飛び交う。政府も厚生労働省の「モデル就業規則」を変更し、原則として副業を認めるなど、副業の促進に乗り気だ。

 だが、はたして副業を行うことは、日本で暮らす人々にそんな理想の生活をもたらすのだろうか。統計データを見てみると、決してそうとは言えない、リアルな実態が見えてくる。

正社員の副業は小遣い稼ぎ程度 

 株式会社エン・ジャパンが2018年に正社員に対して行った副業に関する意識調査によれば、副業に興味があるのは調査対象者3111名のうち、88%に及ぶという。非常に高い割合で、昨今の副業に対する期待感の高まりを反映しているようだ。

 では、彼らは副業に何を求めているのだろうか。同調査によれば、8割が収入アップを、そして約2割がスキル向上や人脈形成といった、キャリア形成の一端としてのメリットを副業に求めているという。

 だが、実際に副業に従事していた経験のある正社員は32%と少ない。併せて、その内情を見てみると、副業に興味を持つ人々と、実際の現場では大きな違いがあるようだ。

 同調査によれば、正社員の副業従事者の中で最も多い業態はアルバイトで59%。次にポイントサイト・アンケートサイトを利用した収入獲得の22%が続いた。

 週の副業労働時間は5時間未満が6割を占め、27%が月額1万円未満の報酬しか得ていない。最も多いのは1万〜5万円未満の月額報酬で、全体の約半数を占める。副業で年に2万~30万円は稼げるようだが、年収1000万円など夢のまた夢だ。

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