蒼井優が不倫する女性を演じるとなぜこうも心を揺さぶられるのか 舞台「スカイライト」

【この記事のキーワード】

 トムは労働者階級の出身ながら、高級住宅地でレストラン事業を営む成功者。キラは、弁護士の父親の抑圧から逃げてアリスと出会い、夫婦のレストランで働きながらともに暮らすうちに、トムと不倫関係に。関係は6年続いていましたが、アリスにばれたことで、キラは何も言わずに彼らの前から行方をくらましていました。

「そろそろ会ってもいいころだと思って」と突然訪れたトムに、食事に誘われて「あなたとの思い出なら十分間に合ってるんだけど」とかわす軽いやりとりや空気感は、ふたりの年齢差や数年間の音信不通にもかかわらず、かつて親密だった間柄ならではの、なじんだもの。蒼井のやわらかな笑顔で緊張感こそないものの、無意識の男女の駆け引きがとてもリアルでした。

妻に知られての、破局

 その空気が変わったのが、キラに会えなかったさみしさをトムが訴えた瞬間。蒼井の「3年も会いにこなかったのに?」という口調は決して彼を責めるものではなく、ふんわりした笑顔のままなのに、恋人の薄情をなじっていると強く思わせるもの。それだけで、ふたりのあいだにはまだお互いへの強い思いが存在していることを確かに感じさせるものでした。そしてキラとトムは、ベッドを共にします。

蒼井優の彼氏が途切れない理由が明らかに? 「魔性の女だから」ではなく、真っ当な恋愛観

 11月30日に放送された『TOKIOカケル』(フジテレビ系)に蒼井優と高畑充希が登場。彼氏を切らさない魔性の女、と騒がれている蒼井優が恋愛について…

蒼井優が不倫する女性を演じるとなぜこうも心を揺さぶられるのか 舞台「スカイライト」の画像1
蒼井優が不倫する女性を演じるとなぜこうも心を揺さぶられるのか 舞台「スカイライト」の画像2 ウェジー 2016.12.05

 キラにとってアリスはトムを取り合う敵ではなく、大切な親友でした。だからこそキラは関係を知られたらアリスの前から消えると決めており、それをトムにも告げていましたが、彼らのもとを去った本当の理由は、関係を知られた日、トムにプロポーズをされたから。絶対にアリスに知られたくない関係だったのに、彼女へ意図的に知らせたのは、トムだと察してしまったから。

「悔しいけど、今でもあなたを愛している。でも信じられない」

 お互いへの気持ちは消せないけれど、不信感とアリスへの罪悪感で揺れ動くふたりは、それぞれの価値観をぶつけあいます。知識階級出身なのにわざわざ貧困地域の学校で働き、不遇な子供の面倒を過剰にみようとするキラは、現実からただ逃避しているだけではないか。自身の努力と才能の賜物であっても、事業の成功を誇示しそれを社会の正義だと押し付けるトムの発言は、金持ちの自己憐憫ではないのか――。生きる世界や考えの違いが露呈されるにつれ、そこには、イギリスの社会が残してきた階級意識や驕り、差別も浮き彫りになっていきます。

1 2 3

「蒼井優が不倫する女性を演じるとなぜこうも心を揺さぶられるのか 舞台「スカイライト」」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。